テクノミュージックに限らず、引っ張りダコのTR-909のドラムサウンド。
本物のドラムのようでいて「そう」ではないという、ウソっぽさが魅力。
その一方で、リズムマシンっぽいけれども「高級感」のある音が特徴のTR-808。
しっかりとした「芯のある音」が魅力。クラベスの音とか、耳に痛いほど。
TR-909とTR-808は、数多くのヒット曲でその音を聞くことができます。
どちらのKICKサウンドも大音量で鳴らすと音が「ぶっとい」ですが、音の作り方はまったく違います。
TR-808は、KICK専用の「共鳴回路」に電気的な打撃を加えて、「ドゥ~ン!」と言わせます。
これは、実際のドラムセットのバスドラを、ペダルで鳴らすのと同じやり方。
KICKのDecay(ディケイ)を伸ばした時の、サイン波っぽい「鳴り」の良さは、TR-808ならでは。アタックと音が消える際の、音色の変化も独特です。
TR-909といえば、60Hz(ヘルツ)くらいの低い周波数で鳴っているVCO(オシレーター)に、ENV(エンベロープ)を掛けてピッチをしゃくらせることで「ドゥ~ン!」と鳴らします。
これは、アナログシンセサイザー的なSUBHARMONIC(低周波)を利用した音作りです。
その独特のピッチ感は、TR-909ならではのもの。改造してピッチのしゃくりを大きくすると、さらにいい!
どちらのKICKサウンドも、曲によってハマリ方が違うので、選ぶ楽しみがあります。
傾向として、リズムマシンが似合う曲ならTR-808、シンセを多用する曲ならTR-909がマッチしそうですが、「TB-303」のシーケンスラインはどちらにもイケルので、試してみるのが一番かもしれません。
TR-909とTR-808は、どちらもアナログ電子回路で音を出しますが(TR-909はシンバル系だけPCM)、リアルさにちょっと欠けることと引き換えに、アナログ特有の「高密度感」と「波形の揺らぎ」を持っています。
このため、ライブ会場などで大音響で鳴らした時に、音が太くて、なおかつ表情のあるドラムサウンドになります。
ここらへん、PCM波形を使ったデジタルサンプラーだと、物足りないところです。
気をつけなくてはいけないのが、TR-909とTR-808は、エレキギターなどと同じく「楽器」として作られていますので、スピーカーから音を出すのが前提なこと。
スピーカーでなく「ライン」で録音してしまうと、本領を発揮しません。とくに、今回のテーマの「KICK」の音の印象がかなり違います。
このあたりは、エレキベースと同じように、録音に独特のテクニックが必要になります。
プロのエンジニアだと、超低域でブンブンなっているように聞かせつつ、コンプとかプリアンプを使って、実際のレベルは抑えておく、という「技」を使います。
これも、本物のような「ウソ」ですね。
ヴィンテージシンセ担当の吉田が、記事にまとめました。
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