EMS SYNTHI-100 というシンセサイザー | DIGEQUIPMENT -JR御茶ノ水駅から徒歩2分!クロサワ楽器お茶の水駅前店スタッフブログ-

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Dig into Equipment
筆者の主観と偏見で、機材を掘り下げご紹介します

EMS SYNTHI-100

この前の記事で、「EMS SYNTHI-AKS」について書きましたが、EMSにも「MOOG system-3C」ような大規模なモジュラーシンセが存在します。

 

それが、「SYNTHI-100」というシンセサイザーです。全部で、30台作られました。

(画像は、nnm.clより。https://nnm.cl/soulwax-ems-synthi-100/

 

 

システムキッチンのような大きさのボディに、整然と並んだ多くの「ツマミ」と点滅する「電球」、緑色の「波形」を映し出す「アナログ・オシロスコープ」。

 

ニキシー管 イメージ

一番右側のパネルにある「デジタルシーケンサー」を走らせると、ぼんやりとオレンジの電球色に光る「ニキシー管」がカウントアップされていきます。

 

SF映画のセットに使っても違和感のない「フューチャーレトロ」な外観は、「SYNTHI-100」が世界一!まさに、イギリスシンセ界のヘリテージ。

 

 

12VCOs

「SYNTHI-100」は、VCO(オシレーター)12個、VCF(フィルター)8個、ENV-VCA(トラペゾイド)2個を装備していました。

(画像は、怒涛の12連VCO)

 

そして、当時としては大容量の「256ステップ」のデジタルシーケンサー、オシロスコープと、EMS独自の特大パッチングボード(60X60サイズ)も2枚装備していました。(SYNTHI-AKSは、16X16サイズ)

 

日本にある、「SYNTHI-100」をメンテンナスしたことがありますが、巨大すぎて終わるまで1か月かかった記憶があります。トランジスタなどの部品が全部イギリス製で、日本では入手しにくかったのも、遅れた理由のひとつです。

 

 

音質は、SYNTHI-AKSと同じ回路構成なので、VCOとVCFともEMS独特の「電気感」にあふれるサウンドです。パッチケーブルを使わなくても、VCOやVCFなどのモジュールの結線ができるスマートなパッチングボードは、他にはありません。

 

そして、たかだか16ステップのアナログシーケンサーが全盛だった当時、「SYNTHI-100」が装備する、256ステップのデジタルシーケンサーは羨望の的でした。

 

 

EMS SYNHTI-100 モノクロ

まさに、ヘリテージ!なんですが、「MOOG」以前のシンセサイザーなので、VCOのピッチを合わせるのたいへんです。

 

それなのに、「EMS」のラインアップには「DK2」という2段鍵盤があったりします。上下鍵盤で2系統のCVを出すので、別々の音程で弾くことができるのですが(もちろん単音ずつ)、時間とともに上下鍵盤の音階が微妙にズレていきます。

 

 

これでピッチの管理をするのは難しいですね。

12個あるVCOは、一度に鳴らすというよりは、壊れた時の「予備」という意味合いだったと思います。

 

しかし、この「不安定さ」が、「電気感」たっぷりのEMSらしい音質と組み合わさると、逆に、SYNTHI-100の「妖しい」魅力を醸し出しているような気がします。

(画像は、emssynthesisers.co.ukより)

 


ヴィンテージシンセ担当の吉田が、記事にまとめました。

 

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