VOLTAGE CONTROLLED(ボルテージ・コントロール)って、なに? | DIGEQUIPMENT -JR御茶ノ水駅から徒歩2分!クロサワ楽器お茶の水駅前店スタッフブログ-

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Dig into Equipment
筆者の主観と偏見で、機材を掘り下げご紹介します

ROLAND SH-101

ビンテージシンセによくある「アナログシンセサイザー」では、「VCO」と「VCF」と「VCA」がほとんどの機種で使われています。

 

VCO(VOLTAGE CONTROLLED OSILLATOR:ボルテージ・コントロール・オシレーター)

VCF(VOLTAGE CONTROLLED FILTER:ボルテージ・コントロール・オシレーター)

VCA(VOLTAGE CONTROLLED AMPLIFIER:ボルテージ・コントロール・アンプ)

 

この「VOLTAGE CONTROLLED(ボルテージ・コントロール)」ってなんだよ!?と、エフェクター担当からリクエストいただきました。

 

 

これは、「CV:コントロールボルテージ」という電圧で、シンセの「オシレーター」と「フィルター」と「アンプ」をコントロールしましょう、ということです。

 

電子機器だったら全部そうなんじゃないの?と、言う人もいらっしゃると思いますが、ここらへんは、MOOG「以前」と「以後」の歴史を見てもらう必要があります。

 

EMS SYNTHI-AKS

前の記事で紹介した「EMS SYNTHI-AKS」は、「MOOG以前」のアナログシンセです。

 

「3つ」のオシレーターを装備していますが、「KS」という付属のキーボードで「電圧」を出して、オシレーターのピッチをコントロールします。

 

ですが、使うオシレーターの数を増やしていくと「負荷」が増えていくので、キーボードの「電圧」が下がります。なので、キーボード側で電圧が元に戻るように「調整」する必要があります。

 

 

このあたり、乾電池に「電球」をたくさん接続したら、暗くなるのと同じです。

 

音色によっては、オシレーターの数を1つから2つに切り替えたいのに、これではいちいちメンドクサイ。

 

フィルターをレゾナンスで発信させて「音階」を出したくても、オシレーターとは電圧の仕様が違うので、また「調整」しなくてはなりません。

 

 

MOOG system-3C

このメンドクサ~イ電圧調整をなくすために、「電圧」が1V(ボルト)増えるごとに、「音程」が1OCTAVE(オクターブ)上がることを、「基準」にしたのがMOOG博士。

 

その基準を採用してできたのが、MOOGのモジュラーシンセである「system-3C」です。

 

 

このおかげで、「CV:コントロールボルテージ」をVCO、VCF、VCAに入力するだけで、シンセサイザーを簡単に使用できるようになりました。

 

VCOを「10個」つないでも、ケーブルを接続するだけで何の調整もいりません。(微調整は必要です) 「system-3C」にVCOが9個も装備されている理由がこれでわかると思います。「CV」を、9個のVCOに全部つないでも、「ぜんぜん音程は変化しないぜ!ドヤッ!」とするためのもの。

 

さらには、VCOから「波形」を出すばかりでなく、VCFとVCAへ「波形」を「CV」として入力することで、FM(周波数変調)やAM(振幅変調)も簡単にできるようになって、「シンセの音作り」の幅が広がりました。

 

 

「VOLTAGE CONTROLLED(ボルテージ・コントロール)」というのは、現在の携帯電話の「5G」と同じ、シンセサイザーのグローバルスタンダード。

 

そのような「規格」を作ってしまうあたりも、MOOG博士が「ドクター」と呼ばれる理由のひとつだと思います。