ビンテージシンセによくある「アナログシンセサイザー」では、「VCO」と「VCF」と「VCA」がほとんどの機種で使われています。
VCO(VOLTAGE CONTROLLED OSILLATOR:ボルテージ・コントロール・オシレーター)
VCF(VOLTAGE CONTROLLED FILTER:ボルテージ・コントロール・オシレーター)
VCA(VOLTAGE CONTROLLED AMPLIFIER:ボルテージ・コントロール・アンプ)
この「VOLTAGE CONTROLLED(ボルテージ・コントロール)」ってなんだよ!?と、エフェクター担当からリクエストいただきました。
これは、「CV:コントロールボルテージ」という電圧で、シンセの「オシレーター」と「フィルター」と「アンプ」をコントロールしましょう、ということです。
電子機器だったら全部そうなんじゃないの?と、言う人もいらっしゃると思いますが、ここらへんは、MOOG「以前」と「以後」の歴史を見てもらう必要があります。
前の記事で紹介した「EMS SYNTHI-AKS」は、「MOOG以前」のアナログシンセです。
「3つ」のオシレーターを装備していますが、「KS」という付属のキーボードで「電圧」を出して、オシレーターのピッチをコントロールします。
ですが、使うオシレーターの数を増やしていくと「負荷」が増えていくので、キーボードの「電圧」が下がります。なので、キーボード側で電圧が元に戻るように「調整」する必要があります。
このあたり、乾電池に「電球」をたくさん接続したら、暗くなるのと同じです。
音色によっては、オシレーターの数を1つから2つに切り替えたいのに、これではいちいちメンドクサイ。
フィルターをレゾナンスで発信させて「音階」を出したくても、オシレーターとは電圧の仕様が違うので、また「調整」しなくてはなりません。
このメンドクサ~イ電圧調整をなくすために、「電圧」が1V(ボルト)増えるごとに、「音程」が1OCTAVE(オクターブ)上がることを、「基準」にしたのがMOOG博士。
その基準を採用してできたのが、MOOGのモジュラーシンセである「system-3C」です。
このおかげで、「CV:コントロールボルテージ」をVCO、VCF、VCAに入力するだけで、シンセサイザーを簡単に使用できるようになりました。
VCOを「10個」つないでも、ケーブルを接続するだけで何の調整もいりません。(微調整は必要です) 「system-3C」にVCOが9個も装備されている理由がこれでわかると思います。「CV」を、9個のVCOに全部つないでも、「ぜんぜん音程は変化しないぜ!ドヤッ!」とするためのもの。
さらには、VCOから「波形」を出すばかりでなく、VCFとVCAへ「波形」を「CV」として入力することで、FM(周波数変調)やAM(振幅変調)も簡単にできるようになって、「シンセの音作り」の幅が広がりました。
「VOLTAGE CONTROLLED(ボルテージ・コントロール)」というのは、現在の携帯電話の「5G」と同じ、シンセサイザーのグローバルスタンダード。
そのような「規格」を作ってしまうあたりも、MOOG博士が「ドクター」と呼ばれる理由のひとつだと思います。