すでに1ヶ月位経ってしまったのですが、

毎年新春恒例の2つの音楽番組の特集から今年の日本の音楽の傾向を考えてみたいと思います。

 

まずはバカリズムさん司会のバズリズム02、新春恒例のこれがバズるぞ2024から。

 

今年のトップテンはこうなりました。

  1. サバシスター バンド
  2. ブランデー戦記 バンド
  3. ケプラ バンド
  4. TOMOO 
  5. シャイトーブ バンド
  6. 離婚伝説
  7. ContonCandy バンド
  8. 炙りなタウン バンド
  9. UNFAIRRULE バンド
  10. XG

全体の傾向としてはバンドが多く、2022年くらいに結成しているバンドが多かった印象でした。ContonCandyやシャイトーブはTikTok等のBGMで使われていたこともあり、すでにブレイクしている感があります。

1位のサバシスターは結成2022年3月に結成、その5ヶ月後のサマソニに出演するという、かなり異例の抜擢をされています。

 

全体としてパンク的な要素の楽曲が多い印象。またXGは韓国事務所所属の日本人ガールズグループですが、いわゆるK-POP系はXGのみとなっていました。

 

またUNFAIRRULEや炙りなタウンは岡山出身のバンドで、地方発のバンドも目立ってきた感じがあります。

 

 

次に関ジャムの方ですが、こちらはいしわたり淳治さん、蔦谷好位置さん、川谷絵音さんがそれぞれ昨年リリースされた楽曲の中でベストテンを選ぶという内容。

 

それぞれのポジションから選んでいるので、あまりかぶることはなかったのですが、藤井風やTOMOOは選ばれていましたね。TOMOOはバズリズムの方でもランクインされていますが、かなり才能のあるシンガーであるということはわかりました。

 

こちらの全体の方向性としては、2020年代の流れをそのまま引き継いでいるようなバンドやアーティストを取り上げていて、テクニカルであったりニッチサウンドであったりと、売れる売れないというよりは見逃せないようなバンドやアーティストが多かったかなと思いました。

 

バズリズムでも取り上げていたXGや離婚伝説もこちらに入ってましたね。

 

それぞれの一位は

いしわたり淳治 TOMOO「SuperBall」 

蔦谷好位置 君島大空「Crazy」

川谷絵音  藤井風「花」

 

でした。

 

個人的には蔦谷好位置さんが君島大空を選んでいたのはかなり意外でしたが、解説で熱く語っているところを見たら納得でしたね。彼への期待というのもあるんだと思います。

 

さて、2番組を観て今年2024年の傾向を考えてみようと思います。

 

2018年頃から始まった、新しい日本の音楽(King GnuやOfficial髭男dismといったアーティスト)から少し反転しそうな感じがするのが2024年なのかなと思いました。

 

関ジャムではテクニカルでニッチな音楽が多かった反面、バズリズムでは3ピース編成のシンプルなバンドサウンドが多かったです。

 

こういった相反するような音楽が共存してきているということは、今までの流れから変わるという印ではないかと思います。

 

つまり、これからはシンプルで単純なサウンドというのが求められるのかなと思いました。コロナ禍から少しづつ日常を取り戻し、集まることを禁じられてきた世代にとっては、仲間と作るサウンドというのに価値を見出しているのかもしれません。

 

過去にも同様の傾向が有りました。例えば80年代後半から90年代前半にかけては、複雑でテクニカルなロックサウンドというのが多かったと思いますが、90年代後半にかけてはパンクバンドが同時多発的に結成され、ハイスタンダードやモンゴル800といった今でも活躍しているバンドが多数でてきました。

 

パンクバンドが決してテクニカルではないと言っているのではなく、テクニカルな面を全面に出すのか出さないのかというところの違いではあります。

 

ただ、これの弊害と言えるのが本当にテクニックが無いバンドやアーティストが売れてしまうということもあります。商業音楽のある意味闇の面とも言えるのですが、こうしたことが起こりやすくなってしまうんですね。

 

この傾向が今年辺りから始まってしまうのではないかという個人的な懸念があります。

 

本来評価すべきバンドやアーティストが埋もれてしまう事になりかねない、このことが最も懸念すべきことなのかなと思いました。

 

ラウドミュージックやクラブ系ミュージックは2番組ともほとんど取り上げないのですが、例えばBMTHの楽曲制作に携わっている DAIDAIが所属しているPaleduskはこれから注目すべきバンドですし、このブログでもライブレポを書かせてもらったLAUSBUBは次世代のテクノ・クラブミュージックに欠かせないユニットだと思います。

 

こうした本来日本が世界に挑めるようなアーティストがこうした番組で取り上げられないのは残念ですし、こうしたアーティストの情報を発信者側はどう観ているのかというのも気になりました。

 

ちょっと気になったのが、関ジャムのいしわたり淳治さんがYOASOBIのアイドルを選んで、その解説をした時に、メイドインジャパンが少ないという話をしていたのですが、そんなことはなくて、BABYMETALやBAND-MAID、Crossfaithといったメタル系アーティストは2010年代から活躍しているし評価もされています。また先日解散を発表したCHAIも一定の評価を得ています。

こうした言葉が音楽業界の真っ只中にいる方から出るのは残念でならないですね。

 

ということで、2番組から2024年の日本の音楽の傾向を考えてみました。自分が感じた懸念というのが現実にならないと良いなと思いました。