○戦わずして勝つ心の習い方
人間関係において争い事は常であり、互いの思考は異なって当然なのだから争いを無くすことは難しいことです。
しかしながらできることなら争いを避け、且つ自身に優位な状況で事を収める事ができればこれに超したことはありません。
彼(か)の孫子兵法の一文に
『百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり』
とありますように、
〝百回戦って百回勝ったとしてもそれは最善の策とはいえない。戦わないで敵を屈服させることこそが最善の策である〟
と述べています。
さてそのためにはどんな手段や方法が考えられるのか。。
スポーツにおいては決められたルールの中で勝敗を決めることが目的ですが、実戦においてはルールなど存在しません。
例えばどこかの国からこちらをめがけてミサイルが発射され、『ちょっと待った! ミサイルを元に戻して!』と言っても発射されたミサイルが元の鞘に収まる訳がありません。
つまりは〝待ったなし〟の世界です。
これは人生にも当てはまることで、こと武士に関しては〝人生とはやり直しの利かない一発勝負〟という考えが基本なので 敗北・失敗=死 となる状況において「失敗してもそれを糧にやり直せばいい」とはならず、人生は常に真剣勝負であったわけです。
永心道空手においてもこの『人生真剣勝負、待ったなし』の精神を習い、生きることに前向きに、真剣に取り組む姿勢を養う心の訓示の一つとしています。