先月、定年後の再雇用で、仕事内容は同じなのに基本給を大きく下げられたことが不当かどうかを争っていた裁判で、最高裁の判断が示されました。訴えたのは名古屋の自動車学校の教習指導員の方です。
二審は「仕事が同じなのに基本給を6割以上下げるのは不合理」としていましたが、「基本給の性質を検討して判断すべき」と、審理自体のやり直しを指示しました。
基本給には、
勤続年数を反映した「勤続給」
仕事の難しさなどの内容に応じた「職務給」
本人の職務遂行能力に応じた「職能給」
などがあるけど、原告の基本給はどうやって決められたの?決め方によっては不合理にならないんじゃない?
ということです。
なんか期末試験で「回答は合ってるけどさー、考え方が正しいか判らないから採点できなかったんだよね。あとで職員室に来て」と言われたようで、最初はモヤモヤしていました🤔
今後の同様な事案のことも考えて、きちっとステップを押さえたいということですね。
「再雇用とは仕事を変えず給料を下げられる制度」と思い込んでいるような会社に対するアラームを出した、とみるのがよいのでしょう。
再雇用だけではなく、役職定年でもそうですが、雇用される側の社員のほうが、変に悟っている感すらあります😇
日本の会社の中では仕事が変わらず(あるいは責任の大きさが変わらず)給料が下がっても「先輩たちもそうだった」「所詮そんなもんだ」「仕事があってよかった」と、達観したように、またはやりがい搾取のように受け入れることが多いように思います。日本人だなあ。会社は楽ですね。
一方で、仕事(の大きさ)が変わらないか少しは減っても、あまりに少なくなった給料に見合わない、という愚痴はあちこちから聞くので、面と向かって文句は言わないけど割に合わないと思っている、それが実態ではないでしょうか。
なので、今回の事案も「仕事が何も変わっていない」のが事実だとすれば、基本給の性質の違いで判断が大きく変わるとは思いません。
実態としての業務内容とその評価、それと今まで支払っていた対価の関係は事実として確認できますからね。実態のもつ力は大きいです。
とはいえ、理詰めで再確認したうえ、やっぱり変だよ、ということになるのか、とても興味深いです。
60歳からの高年齢者雇用継続給付金は、給付率が現在の15%から今後10%に、そして廃止される道筋ができています😮
70歳までの雇用努力義務も始まっている中で、65歳まで会社に居るのならバリバリ現役の労働力として成果出して!給料もそれなりに出すから、という方向に会社も切り替わらざるを得ないです。
これまでと同じパフォーマンスを期待するなら報酬はそれに見合わないといけないし、報酬を下げるなら不満の出ない仕事内容に抑える必要があります。どっちかですからね。
働く側としては前者かなぁ。
でも、給料少なくなってもボランティアみたいに働きまくる人だっているんですけどね。「カネの問題じゃない」と。でも、そんな人ばかりじゃない。
急に仕事が少なくなると元気無くす人もいるし、難しいです。
再雇用は、その人の仕事への向き合い方が剥き出しになる転機なのだと思いました。
ではまた。