「混合診療」拡充 内視鏡がん手術も対象
厚生労働省は十八日までに、保険診療と自己負担となる保険外診療の併用を認める事実上の「混合診療」を拡充するため、高度先進医療や差額ベッドなどに限って例外的に認めている現在の「特定療養費制度」を廃止し、新たに「保険外併用療養費制度」を導入することを決めた。
これまで混合診療の対象でなかった内視鏡でがんを切除するなど難易度が中程度の先進医療(中度先進医療)や、治験中の国内未承認薬なども対象に加える。今国会に健康保険法改正案などを提出、成立すれば今年十月から実施する。
現在の公的医療保険制度では、診療の中に少しでも保険外診療があると、本来は保険が適用される診療も含め全額患者負担となる。ただ、臓器移植など「高度先進医療」と、差額ベッド代や義歯の材料費、予約診療といった「選定療養」は特定療養費制度とし例外的に保険医療と保険外医療の併用が認められ、事実上の混合診療となっている。
新たに導入される保険外併用療養費制度は、混合診療の対象範囲を広げることを主な目的としている。具体的には、近い将来の保険適用を前提とした「評価療養」と「選定療養」の二分野で構成する。
評価療養には、特定療養費制度の適用を受けていた高度先進医療に、内視鏡がん手術などの中度先進医療と、抗がん剤など治験中の国内未承認薬を新たに加える。
選定療養には、現行でも認められている差額ベッド代などのほか、腫瘍(しゅよう)マーカー検査など保険で定められた回数を超えると超過分だけでなく全額自己負担となっていた医療行為を含める。
評価療養のうち、中度先進医療について厚労省は、約二千の医療機関で百程度の技術が新たな対象になる(一部は既に認定済み)とみており、対象範囲が大きく広がる。
また、治験で安全性が確認されてから保険適用が決まるまでの間に未承認薬を使用した場合、これまでは保険対象部分を含めて全額自己負担になっていたが、保険診療との併用が可能となり、新薬の投与に伴う患者の経済的負担が軽減されそうだ。
レイテ島地滑り 村の面影なく 土砂の厚さは数メートル
【ギンサウゴン村(比レイテ島南部)大澤文護、中尾卓司】「どこに村があったのですか」と聞くと、泥だらけの救助作業員が手にしたスコップを、足元の土砂に突き立ててつぶやいた。「ここさ。ここが村さ」。フィリピン中部レイテ島の南レイテ州で起きた大規模な地滑りから一夜明けた18日、被害が集中した人口約2000人のギンサウゴン村に入った。そこにあった、という村の面影はどこにもなく、多くの命をのみ込んだ大量の土砂だけが静かに広がっていた。
村にのしかかるようにそびえるカン・アバグ山が幅数百メートルにわたって崩落した現場は、地滑りから一昼夜がたっても、救助活動は本格化せず、生き残った住民は、遠くから変わり果てた村の姿を眺めていた。
州政府によると、村に積もった土砂の厚さは数メートル。2週間も降り続いた雨を吸った重い土砂は、321世帯の村の家々を完全にのみ込んだ。
積もった土砂に一歩踏み込むと、腰まで泥に埋まった。そんな悪条件の中で、人々はスコップだけを「武器」に、大量の土砂に埋まった生存者の行方を捜し続けてゆく。
遺体捜索を続ける市の救助隊員が地面に顔をつけるようにしてにおいをかいだ。「ここかもしれない」。狙いをつけた場所を4人のチームが掘り始める。彼らの顔が緩んだ。「遺体じゃなかった。家畜の死がいです」
× ×
生き残った人たちは村から車で30分のセントバーナード町中心部の中央小学校に避難した。
地滑りが起きた当時、村中心部の集会所では女性の記念日のパレード中だった。多くの住民が集まり、ダンスや歌声が響いていた。楽しいムードが一瞬にして、悲鳴の渦に変わった。
ドミンゴ・イヒドさん(63)は、地滑りの時、家の近くのココナツ畑にいた。直前に地震を感じ、続いて大きな音が村を包んだ。「音は、動物の叫び声のようだった。次の瞬間、泥と土と水が押し寄せてきた。ただただ、必死に逃げた」
児童246人が通うギンサウゴン小学校は山のふもとにあった。避難した人々によると、授業中の子どもたちと教師5人は逃げる間もなく、土砂に巻き込まれたという。
「『助けて』と叫ぶ大きな声が聞こえた。2歳の息子を抱いて逃げるしかなかった」と村のはずれに住む女性、エルサ・パゴドンさん(38)は語った。6人の子どものうち、小学校5年生のエブリンさん(11)と3年生のダニエル君(10)の2人は他の児童とともに土砂流に流された。別の場所にある高校に通っていて助かった高校1年の娘、アーリンさん(14)は「今でも怖い」と母の腕をつかんだ。
エルサさんは「なぜ、子どもたちを助けられなかったのか」と、避難所で、うなだれた。外では終日、雨が降り続いた。
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AP通信によると、比軍救助部隊の幹部は、18日夕までの捜索で少なくとも55人の遺体が発見されたことを明らかにした。17日に救助されていた57人のうち、子供1人が頭部のけがの悪化から死亡した。AFP通信はフィリピン政府当局者らの見通しとして死者は1400~3000人と報じた。現地では小規模な地滑りが散発的に続いており、軍当局者は「(救助関係者の)二次災害の危険性」を指摘している。
<着床前診断>「習慣流産」患者の一部に適用拡大
暗い銀河にブラックホール すばる望遠鏡が観測
ちりに覆われた暗い銀河の中心部に、太陽の100万倍以上の質量を持つ超巨大ブラックホールが潜んでいることを国立天文台などのチームが、ハワイのすばる望遠鏡の観測で突き止め、16日発表した。
可視光で見える明るい銀河の多くには、中心に超巨大ブラックホールがあることがエックス線観測などで分かっているが、暗い銀河は観測が難しく、内部は不明だった。
研究チームは、すばる望遠鏡を使って2002-05年にかけて、地球から数億-20億光年先に分布する暗い銀河約50個について、銀河を覆うちりが温められて放つ近赤外線の波長を詳しく分析した。
すると、うち約20個の銀河の波長に、ちりの分子が壊れたことを示す特徴があることが判明。ブラックホールに物質が落ち込む際に出る強いエックス線によって、ちりの分子が壊されたと結論付けた。
暗い銀河の中心にある、ちりに囲まれ
た超巨大ブラックホールの想像図
(国立天文台提供)


