日本語が乱れる | ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

主婦にして家事はおざなり、興味あることだけ、猪突猛進の悪妻愚母のドイツ生活

 海外に暮らして毎日外国語で生活していると、母国語が乱れてくるというのは、外国に住んだことがある人なら誰でもある経験だと思う。

 

私自身も例外ではなく、日本の友達と電話でしゃべっていると、「ほら、あれあれ・・・あれは日本語で何やったっけ?」としょっちゅうやっている。

ちなみに書く方はさらに衰え、数年前にブログを始めた時は、まとまりのある文章にするのに大苦労。最初の方は下書きまでしていたっけ。

 

優しい友人は気を使って、

「この間、娘と散歩中に水子地蔵の側を通ったんだけどさあ、あ、水子地蔵ってわかる?」

いや、それぐらいわかるよ!日本語を忘れただけで、日本文化を忘れたわけじゃないの。日本語上級の外国人じゃないんだから。(笑)と突っ込んだが。笑い泣き

 

それでも今はネットで最新のニュースも瞬時に入ってくるし、YouTubeでリアルな若者言葉も耳にするしで、海外にいても日本語の流行り言葉など自然に身についていくのも不思議なところ。

 

新しい言葉は大体前後の脈絡でわかることが多いが、一回見ただけでは首をひねるものも時々ある。

例えば、数年前から見かけるようになったJK。JKとは何ぞや?と暇な私は長い間考え込んだ。

制服姿の若い女の子のことを指しているらしいのはわかるけど、それ以上はさっぱり。Jってのはジャパニーズだと思ったが、Kはわからない。K?Kって何?カルチャーはCで始まるし・・・。結局我慢しきれなくなって検索したところ、何のことはないjoshi kosei(女子高生)の略だとわかり、あっさり解決。ひねって深読みした自分がバカバカしいったらありゃしない。

 

「そうだ、一つ教えて欲しいのがある。リア充って何?」

仕事以外でのプライベートな時間のところでよく出るトピックだから、充は充実かなと思ったが、リアって何?まさかリアルではありますまいな。

「そう、その通り。リアルな生活が充実しているのことよ」

と友達。

なーんだ、本当にそうだったんだ。そのままやんか。

じゃ、親ガチャは?

「親ガチャは、ガチャガチャで出てくる景品が何が当たるかわからないように、親を選べないってこと」

なるほどー。長年の疑問が氷解し、スッキリ。

 

ところで、私自身の日本語も怪しいが、ドイツ在住の他の友達もそう変わらないらしく、「あの漢字、横線が2本やったか3本やったかもうわからへんわー」とか「ね、掃除って漢字で書ける?私はもう書けないよ」とお互いの自虐ネタで物忘れ度を競ってみたりして。

 

その中でも忘れられないのが、前の町に住んでいた時のY美ちゃん。年上で品のいいお友達だ。

お互いベビーカーに子どもを載せて散歩をしていた時、好みの男性の話になり、私が、

「へー、じゃあ、旦那さんは結構好みのタイプだったんだ」

と聞いたところ、彼女、いつも通りおっとりと、

「うん、そうだね。彼とはまあ同じ穴のムジナっていうか・・・」

と返答。

・・・。

一瞬置いて、

「あの、Y美ちゃん、それってちょっと意味が違うんじゃ・・・」

ドイツの石畳の路上にて笑い転げる私。きょとんと私を見るY美ちゃん。

 

彼女としては、気が合う、ウマが合う、などという意味だったのだろうが、同じ穴のムジナって。悪だくみを共にする仲間っていう意味じゃなかったっけか。彼女はとても優しく頭がいい人なのだが、天然というかたまにびっくりするような言動で周りを笑いの渦に巻き込んでくれる。また栄光の1ページが加わったわ。

 

他の日本のお友達は楳図かずおのことをずっと"ボウズ"かずおだと思っていたことが判明し、二人で大笑い。
もうこうなったら物忘れでも日本語の乱れでも何でもいい。海外にいて友達と日本語で笑い合えるのは何よりの心の薬だ。