スペイン語講座ーそれは別の言語だからー | ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

ドイツ、悪妻愚母のよもやま話

主婦にして家事はおざなり、興味あることだけ、猪突猛進の悪妻愚母のドイツ生活

 先日はまた地元の市民講座にてスペイン語クラスの日。

 

 参加する前は、ドイツ語で外国語を習うのでついて行けるかけっこう不安だった。周りはドイツ人ばかりだから、ノンネイティブの私はかなり不利なんじゃないかと。

 ところが意外や意外、始まってみると、全く別の言語だから却って混乱がないというか、割り切ってサクサクと進んでいけてる気がする。

 というのも、他の参加者の人達は、ドイツ語からスペイン語に直に訳すため、ドイツ語と違うところが出てくると、途端に混乱し、足踏みしているようなのである。

 

 ちょっとマニアックな話になるが、

 a mí me gusta~(私は~が好きです)に対する反応は、a mí también(私もです)か amí no(私は違います)が正解と習った。

(a mí)me gusta~はドイツ語ではだいたいmir gefällt~(~が気に入っている)に相当するのだが、ドイツ語での答えはmir auch(私も気に入っている)でも、ich auch(私も好きです)でもいいのに、なんでスペイン語ではsoy también(私も好きです)とは言えないのか、の所で大紛糾。

 a míで始まっているから a míで返す、以上!でいいと思うのだが、一人のオジサマが頑固な牡牛のように留まり、先へ行こうとしない。

 なるほど、言語が似ているという事は、大きなアドバンデージであると同時に、混乱を招くことにもなるのかあ。

 

 私に言わせてもらえば、何でダメなんだなどという議論は全くの不毛。いくら同じ欧州言語でも、所詮は完全に別々の言語なんだから、さっさとあきらめてスペイン語ではこうなのだと割り切るしかないと思うのだが、何事に関しても議論したがり屋のドイツ人。しつこく先生に食い下がる。

 

 いやそう言えば、昔、ドイツの語学教室でも、あるドイツ語の熟語をめぐって、それはありえないとスペインやロシアから来た欧米系生徒たちが熱くなって大議論。何でも名詞はそれぞれの母語に似ているのだが、それに続く動詞が彼らの母国語ではありえないとかで、先生も困っていたな。黙ってしら~としていたのは、私達日本やインドから来た生徒だった。

 

 気がつけば、唯一の外国人である私が何故か一番出来がいいというオソロシイ嬉しいことになっている。もっともこれは私が一番若いからというのもあると思うけど。若いったって40の後半だけど、なんせ他が他なだけに・・・。

 

 先生「はい、ではアクサイさん、なぜスペイン語を勉強していますか」

 「私は新しい言語を習うのが好きだからです」

 「muy bien. よく出来ました。」

 「次、退職者Pさん、あなたはなぜスペイン語を勉強していますか」

 「わし、旅行好き、よその国、興味アル、よその文化、知りタイ、食べ物イイ」

 頑張って単語を並べる退職者P。文法的にはあやふやなのだが、語彙力はあるし、取りあえず意味は通じる。

 「こういう風に言えば、スペイン語圏では通じるんじゃよ。文法なんかワシにはどうでもいいんじゃ」←老人の暴言。

 

 「はい、では退職者Aさん、Pさんの文章に習った表現を使ってコメントしてください」

 「・・・。あのな、Pさん、そんなにベラベラ言われちゃオレ全く分からないよ。言ってることがわからないんだから答えられるわけがない。あんた上のクラスに行くべきだよ」  

 ちょっと不機嫌そうな退職者A。実はけっこう頑張って予習したりノートに書いたりしているのだが、その成果があまり出ていないのがプライドを傷つけているのかもね。

 そのくせ今回もきっちり、

「それはイタリア語では〇〇というんじゃよ。ワハハハハ」が出た。誰も知りたくねーんだよ、んなモン。今日も心の中で黙って毒を吐く私。

 

 あーあ、最初の回から思っていたけど、この中で勉強していても、不毛な議論、自慢、長い雑談に終始してたいして進んでないような。やっぱりこうなったら来学期はこの先生に個人授業をしてくれないかお願いしてみるしかないかな。

 

 おまけに授業の真っ最中に上の娘から携帯に電話がかかってきて、ギョッと縮み上がる私。

 このブログでも何度か書いたが、私は娘に隠れてスペイン語を勉強しているのである。

 2回もかけてこられて、教室の外で「今は電話しないでください」とメッセージを打つ私。娘からは怒りの絵文字が返ってきた。ムキー

 

 しかし、幸いにも今日は末端まで教育が行き届いていて、旦那と下の娘は口裏を合わせて、「ママはダンスのクラスに行った」と上の娘に言ったとか。やれやれ。何と言い訳しようか困っていたので助かったわ。