そのほかにも、いろいろ恋にまつわるお話があります。
そこで、みなさんの大きな疑問にお答えしなくてはなりません。
どうして、超高文明人が後進世界の人間と恋に落ちることがあるの?
そもそも恋なんかするの?
子孫を残すのだって計画的に科学的に生殖するんじゃないの?
超高文明人は理性が発達していて、そんな煩悩だらけの本能の塊みたいな野蛮な地球人を好きになったりするの?
ということなんですけど、いやぁ、それ、正直わたしも考えました。
理屈は通しておかねば・・・。
というわけで・・・。
まず、人類も生物である限り、地球人にもエルフィア人にも、生物の2大基本プログラムが働いています。
それがなければ生物と言えません。
一つ、自己複製、もう一つは自己保全です。
科学ではDNAの複製とか代謝とかが生物の条件としてありますが、わたしはそういうものは、この二つのプログラムが働いて影響しあってるからだと思っています。
因みにウィルスは代謝がないので生物ではないんだとか・・・?
自己複製とは生殖です。
「生きるものよ、自己を複製せよ!」
自己保全とは自己防衛です。
「生きるものよ、自分を守れよ!」
神さまがこう言ったかどうかわかりませんが、自分を複製するには外からの養分補給や代謝が必要ですし、それを邪魔しようとする毒物や環境や捕食者から身を守るには細胞膜をはじめ、いくつもの組織や代謝を発達させる必要があるんですね。
もちろん地球人類にもそれは適用されています。
人類の歴史を見れば、その端々にこのプログラムが働いているんではないかと思います。
そういうわけで、同じく人類のエルフィア人にも・・・。
エルフィア人たちも恋を語るんだという理屈に無理矢理たどり着きました。
そういうことで、ユティス自身も言っています。
「わたくしも理性的とは言えないのです」
おまえが語らせたんじゃないかって?
あは。
「人は人を好きになるようにできてるんです」
これもユティスの言葉です。
わたしたち人間のDNAにはとにかく「好きになる」ことがとても強力なプログラムとしてあるようなんです。
その対象は同じ人類に限らず、動物や果てや絵画や彫刻のような造形物まで・・・。
とにかく好きになって愛情を注いでしまうんです。
というか、いつもそれを無意識に探してると言った方がいいのかもしれません。
みなさんはご存知かもしれませんが、人類学者によると、地球人類は一度成長するとそれからはずっと発情状態にある、と言ってもいいようなんです。
一つの説は、ほかの動物のようにオスがメスの子供を殺すことを、人類の女性が避けるためだとからしいんですが、男性は輪をかけて強いですから・・・。
もう一つは社会的な必然からそうなったとするものです。
人生30年の原始の時代より、部族に取って子供をはじめとする構成員はすべて共通の宝でした。
そのため早くに大人になってパートナーを見つける必要がありました。
ところが、同じ部族内でパートナーになっていたのでは、やがて近親婚で子孫は病気に対する耐性がなくなり、滅んでしまいます。
そうならないように、部族の外からパートナーを常に見つけなければなりません。
そこで好きになる能力を如何なく発揮するというわけです。
そして、部族が生残るためには、生まれてきた子供という新しい構成員も一人も欠くことはできません。
部族内の闘争も避けねばなりません。
人生30年ですから、子供をもうける期間は20年もないんです。
ほかの動物の発情期ように、一年一回きりのチャンスでは子供を授かる確率は格段に低くなります。
それで人類は一年中いつでも準備できているということらしんですね。
ということで、あちこちで簡単に恋が芽生えるということらしんです。
ところが、文明が発達し原始の時代とは格段に生活しやすくなった現代、状況は変わりました。
いつだって子供を出産できて生存率も遥かに高くなる状況になると、子孫繁栄とか部族存続とかそういう切羽詰った理由もなくなるわけで、男女とも結婚するのが遅くなるのは、これまた当然と言えば当然なのかもしれないというのです。
そればかりか、男女がお互い恋すらしなくなるかもしれないというのです。
ぎょ!
肉体的にも精神的にも社会的にも男女の差がなくなり、ユニセックスに向かうらしんですねぇ・・・。
そう言えば、日本で恋愛や結婚なんか必要ないとする草食系の若い人たちが増えてきているというのは、考えさせられるものがあります。
これが文明の高度な段階の必然ということになれば、エルフィア人たちが異性に恋愛感情を持つことはありえないということになります。
生殖は政府機関が生殖センター内の設備で科学的に行なう・・・。
巨大な試験管にも似た保育管の栄養たっぷりの羊水の中に、赤ん坊が浮かんで成長していく。
お母さんやお父さんも、だれもいない完全自動の建屋の奥に一人きりで・・・。
ぞっとしません?
ユティスはそれをこう言っています。
「エルフィアでも、文明の発達とともに、男性不要、恋愛不要、そういう女性による単性生殖でよいという時期がありました。しかし、その人たちは世代を重ねる毎に子供たちがひ弱になり、やがてエルフィア人がエルフィア人として存続できなる可能性を見出した時、女性たちは自らそれを否定し、パートナーである男性とともに生きていくことを選んだのです」
有性生殖は病気や環境変化に強いのは周知の事実です。
でも、この時仕方なく、生殖のためだけに男性を選んだのでしょうか?
否・・・。
家族あっての人間、きっとそういうことなんだと思います。
エルフィア人女性は男性が存在する必要性を自覚したのです。
というわけで、エルフィア人は本当に互いに恋をし愛しみ合う人間となりました。
そして、愛の本当の意味を知り、「人類は大宇宙を愛で満たすために生まれました」と悟ったのです。
そんなエルフィア人です。
和人に心の傷を癒されたユティスが、彼に次第に惹かれていったのは不思議でしょうか?
和人がカテゴリー2の人間だとわかって、その気持ちが揺らいだり冷めたりするんでしょうか?
これがわたしの答えです。
※ノリックの『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』 本編は『小説家になろう』に連載中です!