『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』では、超高文明世界をいろんな角度から紹介しているわけですが、超文明世界は超情報化社会ともいえるわけです。
現在の地球とは比べ物にならないくらいの個人に関する情報を扱っています。
そうしないと快適な暮らしができないからです。
そこで、超高文明世界はプライバシーに関しては、どうなっているのかという疑問が出てきます。
エルフィアに代表される超高文明世界では、情報を扱うものとしての情報システムと、人間に備わっている精神波というこのが該当してきます。
まずは、情報システムから見ていきましょうね。
このお話でも、SSたちが安全保障上のいろんな情報について、情報システムとやり取りをするシーンが登場してきます。
超高文明の情報システムは自動的に個人のいろんな情報を収集できるシステムになっています。
肉体や精神の健康状態や社会参加状態などです。
そんなところに、プライバシーなんて存在するの?
って疑問が湧くのは当然のことだと思います。
結論から言うと、情報システムについてはプライバシーは極めて厳格に守られています。
しかしです。
いくら厳重に管理しているとしても、個人情報がどういう形であろうがそれを収集してそこに存在している限り、第三者がそれを取ろうとするなら、限りなくゼロに近づいているとしても、取れる可能性は絶対にゼロにはならないわけです。
もちろん、エルフィアの情報システムは地球のようにバイナリ(0と1による2進法情報)ではなく、量子コンピュータで研究されているような多進法方式の想像できないくらい複雑なものです。
ハッカーたちも地球のシステムのようにはいきません。
そう言えば、ハリウッド映画に、「インディペンデンス・デイ(独立記念日)」という宇宙人の地球侵略を打ち砕くけっこうヒットしたSF映画がありました。
けれど、あれってどうなんでしょう・・・?
主人公のコンピュータの達人が、捕らえた宇宙人のUFOの動力システムを解析し、しかも、そのUFOで旗艦母船に進入します。
そして、20キロメートルもあるUFOの核爆弾も跳ね除ける超鉄壁中枢防御バリアのシステムにハッキングして、それを無効にするウィルスを流しちゃうってものです。
そんな高度なテクノロジーを持った宇宙人の防御システムを、いくら天才エンジニアだとしても、たかだかバイナリシステムしか持たないカテゴリー2の地球人が解析して破ることなんてできるんでしょうかぁ・・・?
ありえない、と思いません?
個人的には、ストーリーの奇抜さはあるもの、宇宙人のシステムが最も単純なバイナリで作動してるとは思えませんし、その理屈が余りに無邪気なんで、わたしにはまったく得心が行きませんでした。
第一に、超高文明の宇宙人が他所の星を侵略するというカテゴリー1的未発達な精神をしてるとも思えません。
脳味噌と科学だけ極度に発達して、精神や倫理観念がカテゴリー1のまんま未発達なんて、まったくアンバランスだと思うんですよね。
あは。
ありゃ、脱線しました・・・!
話を元に戻しましょう。
では、なんのために情報を抜かれるという危険を冒してまで、超高文明世界では自動的に情報を収集することを許しているのか?
なんのため・・・?
それが一番大切なのです。
エルフィアでは、あくまで個人のためのものだからなんですねぇ。
情報収集は、その個人の健康や安全を保つことが、最大にして唯一の目的とされています。
決して、政府や軍や会社、その他のアソシエーション(会社のような目的指向型の団体等)や特定個人が、自分たちの利益を得るために利用するというのではないのです。
それが、カテゴリー3以上の文明における個人情報の利用方法です。
そして、それを不文律でみんなが守る。
衣食住満ち足りた世界でないと実現しない性善説的常識が前提となっているのです。
エルフィアのエージェントのユティスは、カテゴリー2以下の未熟な文明でのアソシエーションの肥大化を警告しています。
なぜなら、公共の目的と称して、アソシエーションの特権階級だけが巨大な権力を行使してその情報を利用できるというのが、カテゴリー2以下の世界の実情だからです。
なぜアソシエーションがそこまで力を持つようになるのかは別のお話で触れるとして、エルフィアでは個人のものは個人のものという考えが骨の髄まで徹底しています。
ですから、そういう名前などの個人判別用の情報以外の個人情報は、何重ものセキュリティの下、決してシステム管理者にも覗くことができないようになっているんですね。
そして、次は精神波についてです。
エルフィア人はその気になれば超能力をだれでも発揮することができ、テレパシーとか透視とかできます。
だれもがテレパシーを持ってるってことは、なんでも思っていることが筒抜けじゃんかぁ・・・!
ごもっとも!
しかしです。
ここでも性善説に立つ彼らには、常識は不文律できっちり守られています。
その気になればできるのに、あえて他人の頭の中を覗こうとはしないのです。
そんなのありえない?
他人の不幸は蜜の味。
聞けるものは聞いておくべし。
そう思っているみなさん、それはわたしも含めたわたしたちがカテゴリー1を抜け切れていない地球人だからです。
エルフィア人は自分を非常に大切にします。
だからこそ、翻って他人も大切にするわけです。
そういうことで、エルフィアでは徹底的に個人の尊厳を認めています。
たとえ頭の中の思考を覗かれたとしても、それを揶揄する人間もいなければ、覗かれた本人も「まぁしょうがないかぁ」ぐらいのものなんです。
他人をやりこめたり、策に嵌めようと企む人間は皆無ですから。
お話に出てくるトルフォやブレストは例外中の例外です。
エルフィア人は、本当に覗かれたくないことは、みんな自分の思考波にプロテクトを掛けます。
そして、特定の親しい相手とはハイパーラインという専用線のようなものでコンタクトを取り合います。
これは相手とのパスワードが必要になり、アンデフロル・デュメーラをはじめとする強力なバックアップシステムで、超銀河間の通信や精神体の転送さえも可能なのです。
そういうことで、超高文明世界では徹底して個人を尊重し、個人情報の尊厳を守っていますから、プライバシーに関してもしっかり守られているわけです。
※ノリックの『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』 本編は『小説家になろう』に連載中です!