『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』の文明の発達段階として「カテゴリー」というものがありますが、地球のカテゴリーは2とされています。
これは、自分の惑星から宇宙空間に飛び出していける科学力を持った世界です。
自惑星を飛び出せない世界は、すべてカテゴリー1とされています。
さて、このカテゴリー1と2にはある特徴的な社会構造があります。
はい、それは経済システムです。
経済、つまりお金です。
お金で成立している社会といっていいでしょう。
では、なぜお金が存在するんでしょうか?
みなさんは考えたことがありますか?
それは財という概念を地球人類が持っているからにほかなりません。
財というものは、ものやサービスの提供を人に要求できる権利の総量みたいなもので、この財を象徴するものがお金です。
地球人類はお金を発案したおかげで、だれでも、財というその権利を数えることも蓄えることも譲ることもできるようになりました。
そして盗むことも・・・。
また、お金は権利ですから、物理的に存在しているようで実は存在していません。
わたしたちの頭の中でそう思ってしまうだけなんです。
と言ったら・・・?
「オレの財布には100円コインが5つちゃんと入ってるぞぉ!自販機で缶コーヒーくらいかえるんだからなぁ!」
ってことですよね!
でも、その100円玉、アメリカやフランスで使えますか?
100円玉はお金ですが、そうと認めてくれない人たちの中では、まったく価値がありませんよね。
これ、そういう概念だからです。
じゃ、もう一つ。
みなさんの給料は?
大抵の方は、自分の銀行口座の預金残高の数字の下の5桁ないし6桁ほどが、ちょこっと変更されるだけなんじゃないですか?
7桁ですってぇ!
それは羨ましい!
億万長者ならもっと変更されます!
数字が10桁とか11桁とか・・・。
あは!
でも、要は銀行のコンピュータシステムでハードディスク内の電磁記録がたかだが数ビット変わるだけ。
ほれ、やっぱり存在しないでしょ?
札束を封筒に入れていただけるような方は、もうほとんどいないんじゃないでしょうか?
それに、実は、そのお札すら信用されていません!
ええ?
そんなことない、ちゃんとスーパーでも受け取ってもらっているよぉ・・・。
なら、試しに買い物をしてレジでお札を店員さんに渡してみて下さい。
なにやらレジの右下のお札投入口に入れるでしょ?
今は偽札感知の仕組みが発達していて、みなさんのお札を調べているわけです!
欧米では現金よりも安全でカード会社が保証するクレジットカードが、もはや買い物の主流です。
でも、クレジットカードもチェック番号を入れさせられたりしますよね。
みなさん、この地球上では基本的にだれも信用されていないんです!
それに今はTカードに代表されるポイントがお金の代用、いえ、もう既にお金となっています。
このTポイントもそうですが、オンラインゲームの中で使われるマネーも財を表すものです。
つまり立派なお金なんです。
しかも純粋に市民により作られた自分たちのルールに基づくお金です。
これは政府にもコントロールが利きませんから、そのうち赤字に苦しんでいる各国政府は、税収を考え、連携して世界的規模での規制法案を通すことになるでしょう。
どうです、お金が概念だとおわかりなりましたか?
これ、お話のはじめ頃にアンニフィルドやクリステアが和人に指摘したことです。
そこでです。
お金は相手が欲しいものやサービスを提供する時、原価割れして自分が損しないように多めに要求しますよね?
利益というものです。
で、どこまで利益を上げるなら許されるんでしょうか?
お金を要求される相手は利益率を納得してるんでしょうか?
まぁ、絶対にそんなことはないでしょうね。
買う方は売る方の原価割れなんか知ったことかです。
逆に欲しい人が多ければ、値段なんか売り手の言い値で鰻登りです。
利益率100倍なんてのもあっと言うまでしょう。
ということで、経済システムは需要と供給の関係で決まるんですが、これがカテゴリー2までの世界の大きな特徴としてあるんだ、ということをエルフィアなどの超高文明世界では言ってるわけなんですよね。
どうしてかというと、基本的に肉体も精神も満たされていないからなんです。
満たされていたら、財の要求は起こらないでしょう?
でも、地球では心配ありません。
たぶん地球では、衣食住、趣味、その他、例え万人が満たされたとしても、CMに代表されるように企業はさらに新たな欲求を次から次えと押し付けて、人間の欲望は際限なく広がります・・・。
足りてれば、余るようになれば、周りの人にも寛容になるものです。
それは人間に限らないようです。
かつて、ロシアのカムチャッカ半島ではのサケが豊富に採れるので、他の地域のヒグマや米国の灰色熊などより遥かに寛容で、人がすぐ側に近づけるくらいだったそうです。
しかし、開発が進みサケが少なくなると、途端に野生を発揮し、今ではもちろんそんなことをしたら、即刻襲われるとのことです。
くわばらくわばら・・・。
そういう訳で、衣食住満ちたり、望むものは大抵満たされている超高文明エルフィアには、財というものを敢えて設ける必要がないというわけです。
地球がエルフィアのようにすべてをタダで利用できるにするためには、最低限物理的な充足、つまり衣食住が満たされていること、労働を強要されることがないこと、そのための自動生産システムが確立されていること、自然災害を制御できるシステムを持っていることなどが大前提になります。
これだけでも相当ハードルは高いでしょ?
そして、財が必要となる性悪説的精神的な恐怖が消えて、性善説が受け入れられる状況にならないと、決して財はなくならないし、お金や経済システムもなくならないでしょう。
ボランティア精神も一般的にならないと思いますね。
これはもう決定的で、わたし個人的には、そういうカテゴリー3の日常が実際に地球で実現するとしても、何百年、いやひょっとすると千年単位の後じゃないかと思いますよぉ・・・。
※ノリックの『失われし銀河の天使 ~ エルフィア ~』 本編は『小説家になろう』に連載中です!