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軟化する円相場について

円相場の地盤沈下は継続。対米ドルでは4月の安値を更新し、ユーロに対しても史上最安値を更新中。

 

対米ドルでの今年に入ってからの騰落率ではアルゼンチンペソ、トルコリラ、ブラジルレアルといった通貨危機グループ?(失敬)を下回る最弱通貨となっている。このような事実が公になればなるほど個人はドル建て資産に投資、今年に入って顕著な日本企業による海外投資も、国内需要の面からさらに加速しドル需要は収まらない。

 

よくCFTCの円ショートが話題になるが、週間ベースの統計ではあるものの皮肉なことに日銀がマイナス金利を解除してから一層積みあがっている。

 

日米金利差とはいうものの、短期のところから長期(金利)のところまで今年に入って金利差はほとんど拡大していない。むしろ米国の長期金利は4月下旬の4.7%レベルから低下している。つまり日銀が多少の金利操作をしたとしても、結局は米国の金利操作の行方に掛かっている、といった歴然たる事実は否めない。

 

報道ベースでは「介入警戒感が漂う中」といったフレーズが決まり文句となっているようだが、この言葉に違和感を感じている市場参加者は多いのではないだろうか。警戒していないからこそここまで下落している、といった解釈が普通と思うのだが。

 

さらには上記のような諸々の円安背景に加え、米国の金利引き下げの見通しに重い霧が圧し掛かかった挙句、米財務省からは「米国債を売るな」(ドル売りを止めろ)と勝手なことを言われ動きようが無い。先日、日本が米国の為替報告書に監視国としてアップされたが、この根拠も従来のルールを無視している。

 

 

 

 

 

確かに日本の経常黒字は拡大したものの、それは通貨安政策(円売り介入)を経由したものではない。監視国に指定される従来の根拠は「人為的な自国通貨の売り介入(円売り介入)を実施した結果、経常黒字が拡大させる」といったもの。

 

今は逆(ドル売り)を実施している。神田財務官が「機械的理由によるもの(で監視国とされた)」というのはこのことである。イエレン、というか米通貨当局はこのルールをご都合的にひん曲げ、日本を監視国にアップした。日本は介入の面でもバイデン政権による債務膨張問題に巻き込まれている。

 

結果として、(その経緯がどうであれ)介入したとしても米国が反対している事から、史上からは限定的効果とみられている。

ついでにいえば、米28日に公表されるPCEインフレが軟化したとしても(コアが2.6とか)、瞬間的な値動きは別として円相場はさほどの影響を受けない。 なぜなら米金融政策当局の政策見通しに、それ(PCEインフレ低下)が決定的なインパクトを及ぼすとは到底思えないからである。

 

 

 

 

 

迂闊に利下げ期待を抱かせない、といった当局者たちの意図は、遅ればせながらも固まりつつある。(ように感じる)

 

 

 

 

 

また更新します