実施されたドル売り介入について | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

実施されたドル売り介入について

世間的な連休というのも国内だけの話であって、マーケットには関係ないわけです。

こういうときは平日よりも余計に睡眠不足、このあと議長会見もあるしね。なかなかヘビー。

 

そんな中で為替介入騒動について一言。FOMCの前に言っておこうと。他レポートでは即座にお伝えしたが、ここではそうでなかったので補足として。(以下)

 

ちょっと前に米国は他国の通貨安政策(為替介入)を嫌がり口を出すが、通貨高介入に対しては基本スルー、と言ったでしょう?

 

そのことに関し、数日前イエレンが「日本の通貨高介入に関し、いただけない」というような報道があった。なので「通貨高介入(この場合ドル売り介入)に対しても米国はやっぱり嫌がっているじゃないか」という方もいると思うのだが、これは為替介入(ドル売り介入)自体を嫌がっているわけではなく、バイデン政権が国債を増刷し、日本の介入となれば外貨準備高の流動性の部分だけでは足りないので、米国債を売却するのは明らか。これを米国が嫌がっているわけです。

 

つまり米国の財政赤字を補填している日本(しかも世界でぶっちぎりの大量保有国/下表参照)が、その米国債を売却する、それを米国が容認する、という形をとれば、他の米国債を保有する国々が追随する可能性もあるわけで、米国債売却自体を嫌がっている。形としては通貨高介入(ドル売り介入)なんだけど、ドルが安くなることは構わない。むしろ、今の状況でのドル安に関してはどちらかというと米国は歓迎だと思いますよ。貿易赤字やインフレの抑制になるしね。

 

 

 

 

 

 

米国債を売却すれば米国の金利が上昇してやっぱりドルは上がるじゃないか、という人もいるかもしれないがそれも違っていて、22年のように数兆円レベルで売却し、短期間で円を買いまくれば金利は関係ない。

 

結果として、表現上「為替介入は望ましくない」(イエレン)ということになっただけ。しつこいようだが為替介入よるドル安について釘を刺しているわけではなく、国債増刷をしている状態の中で、米国債を売却することについて釘を刺したということになる。

 

為替報告書における操作国や監視国に指定される要件は、どれも対米黒字であったり経常黒字国であったりするわけであって(カラクリ2版p209参照)、それを考えても米国は他国の通貨安政策の為替介入についてのみ禁止しているのは明白なわけです。

 

通貨高介入は禁止もしていないし報告書にも無関係、今回は米国債を売却されると財政赤字が膨張するのでこのような表現になった、というのは重ねてお伝えしておく。勘違いしている専門家も多いようだし、この解釈がどうであるかによって介入に関する知識人?各々の見識の程度がわかると思いますよ。

 

機関としてはFRBが一番米国債を保有しているわけだけど、そのFRBはQTで減らしているでしょう?尚の事、日本に米国赤字補填の債券を売却されると困るんですよね、しつこいようだけど。

 

で、そのあと日本の通貨当局は介入した。米国債を売却したのだろう。これはどういう経緯だったのか公にされることはないが、イエレンにあえてポーズとしてそのように言ってもらい投資家の油断を誘う秘密裏の交渉があったのか、あるいは急激な値動きがあったので通貨当局が独断で実行したのか。

 

ちなみに、上の表だが、中国に関しては他国を経由する米国債のシャドートレーディングを実施しているので正確な数字ではないと思われ。