シネマ歌舞伎「三人吉三」を観て「ハムレット」と同じだ! と。やはり歌舞伎とシェイクスピアは似てる | えいいちのはなしANNEX

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本日千秋楽の歌舞伎座、の近所「#東劇」で、#NEWシネマ歌舞伎「#三人吉三(さんにんきちさ)」を観てきました。
コクーン歌舞伎(串田和美演出)の映像化の再映。映画が2015年6月公開だから、舞台はもう少し前、つまり10年前だ。

中村勘九郎、中村七之助、尾上松也。


本日は、(元NHKアナウンサー)葛西聖司氏の上映前解説あり。NEWシネマ歌舞伎が。普通の舞台中継録画と違うのは、映像作品としての心憎い演出がされている、ということ。
この芝居を観るときのポイントは、某家の家宝「庚申丸」という刀剣(柄に庚申のマークがついているのをアップにしてくれるので分かりやすい)、それを買い求めるために用意される「百両」(これは芝居の最初から最後まで、封を着られないので、アップになるとアアあの百両だ、とすぐわかる)。この二つのお宝を、誰が誰を殺して奪って、いま誰が持っている、というのが、ちゃんと分かるように回想シーンなども折りまざてくれること。


三人の「吉三」には、それぞれ「出生の秘密」があり、それは本人すら知らない。そこで、いろんな悲劇が起こる、という河竹黙阿弥お得意のドロドロの因縁劇、ああ、これって一昨日観た「ハムレット」にものすごく似てるな、という感想を持ったり。


「弁天小僧菊之助は、他人を騙す方便で女装しているから、イザとなると男に戻る。しかし、お嬢吉三はいちども女装を解かない、他の2人の吉三の前でも。つまり彼は「彼女」なんだ、という話、これは「なるほど!」と思った。ますます一昨日の「ハムレットQ1」に通じる。吉田羊演じるハムレットも「性別を超えた存在」だった。


歌舞伎とシェイクスピアには、並べて論じると面白い、ということが多いぞ、というのを改めて感じた今週。