「呪詛」騒ぎは、詮子サマの自作自演、これは間違いないでしょう。
この直前、伊周を「寛大な処置」で済まそうとしている道長に、ものすごく不満顔だった女院サマです。確実に伊周と中宮定子を葬るために、仕組んだ騒ぎです。
倫子さんは、これに気が付いています。だから道長に「私にお任せください」と言って笑った。
道長が「あ」って言ったのは、ここで初めて「ああ姉上の仕業か」と気が付いたから。もし、ここで道長が「帝に対する謀叛と同じだ」って外で騒ぎ立てれば、逆に姉の自演がバレて返り血を浴びる、かも知れませんからね。
だから倫子さんは「私が内々に処理します、あなたは知らん顔していてください」って言ったわけで。
賢いです。倫子さまかっこいいです。
ただ、この仕掛、倫子さまはずっと前から気が付いていた、ようにも見えます。でなければいきなり「邪気がある!」なんて言い出して家じゅうの探索を始めたりしません。
彼女は最初から「ソレが出てくる」ことが分かっていた、としか思えません。
だいたい、あんなに家中の女房を総動員して大騒ぎしたら、そりゃあ、外に漏れますよ。エライ人たち(倫子や道長)がわざわざ言い立てなくても。上手い手、ですな。
…あれっ?
もしかして、全部「女院サマと倫子サマの共謀?」という線も捨てきれません。だとすれば、・・・どうなるんだろう。内々に収める、と言っておきながら、ワザと宮廷に噂を流した?どっちにしろ、伊周はホントに呪詛してないのは間違いない。そこまで大馬鹿じゃあないし、そこまで悪党でもありません。残念な男では、ありますが。