尊王攘夷というのは、中国語の四字熟語です。
もともとの意味は「異民族の侵略に抵抗するために、皇帝のもとに団結しよう!」という、南宋時代に流行った中華思想です。
つまり、「皇帝のために夷狄をはらう」のではなく「夷狄をはらうために皇帝の求心力を利用しよう」という思想なんです。
「尊王」は「攘夷」の手段であり、「王」は道具なんですよ。そもそもの意味からして。
目的はあくまて「日本国の独立を守ること」です。天皇を御神輿に担いで目的達成のためのシンボルにしよう、てのが、尊王攘夷の正しい解釈です。
「天皇という人間を大切にしよう」ということだと思ったら、大間違いです。
長州は、天皇を「玉(ぎょく)」と呼んでいました。要は将棋の駒と同じ感覚です。人間ではありません、旗です。
孝明天皇個人が誰を好きとか嫌いとか、異人が怖いとか嫌いとか、そういう話は、どーでもいいというか、関係ないんです。「玉を確保したほうが、勝ち」というのが、ゲームのルールなんです。
純粋な「尊王攘夷」論者ならば、攘夷を実行できない連中(君側の奸)に捕らわれた天皇を助け出して(=拉致して?)、正しい真の攘夷のための「玉」になっていただく、そのために、御所を襲撃するのは、当然の正義なのです。