昔「火天の城」という映画がありました、西田敏行が安土城を設計する棟梁の役。原作は山本謙一氏の松本清張賞受賞先生です。
この映画では、安土城の設計でコンペになり、主人公とは別の大工が吹き抜けの案を提出してきたて、信長もせれを気に入ったんだけど。
西田敏行は、自分の設計案(吹き抜けなし)と、吹き抜けの案と、二つの模型をわざわざ作ってきて、その模型に同時に火をつけて、吹き抜けだとあっという間に全勝する、というのを証明してみせて。
それでコンペに勝って「吹き抜けなし」の安土城か建設された、という物語になってます。
(このころの大河は「新設流行り」で、信長の事実上の正室は「吉乃」であるということになって濃姫(帰蝶)が消されたり、秀吉の妻の名前が「ねね」ではなく「おね」であると言ったり、まあ、今から思えば浮ついた時代でした。
山本謙一氏の小説は、この風潮に異を唱えたもので、「吹き抜け天守閣は、建築学的に無理がある、本当に建ったとは考えずらい」ってことです。しかし、図面が残っているじゃあないか、という声に対して、設計はされたけれど実現はしかなった設計図である、という解釈をしたわけです。
私も、映画を見た時は「なるほどお」と納得したものですが。以降、吹き抜けの安土城は迂闊に登場しなくなりました。山本氏のに妥当性があったからか、それとも「諸説アリのところには面倒だから触らないでおこう」と考えたのかは、分かりません。
「だって、現に安土城は簡単に燃えたじゃあないか」というのも、ごもっともです。実際に吹き抜けの安土城が建設され、倒壊する前に燃えてしまった、とも考えられます。なにしろ建って十年たたずに焼けて無くなってしまったので。
まあ、どっちの証拠もないので、キミはどっちの安土城が好きか? しかない、ともいえます。だったら吹き抜けがあったほうがカッコよくね?と思います、と言っておきましょう。
しかし、信長の真似が大好きな秀志が、大坂城に吹き抜けを作らなかったのだから、やっぱなかったかもな、とも思います。