失脚して官職を引退させられても、官位は剥奪されることはない。これが日本史の面白いところ。 | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

平安貴族は。もし失脚して官職を失っても、無位無官のただのオッサンんはなりません。

律令制の官位官職というのは、位と職がセットになっていますが、引退して職を退いたとしても、位が剥奪されることはありません。

たとえば前(さきの)関白は「太閤」と呼ばれて、関白と同じ礼遇を受けます。

日本史のフシギなところは、辞めたほうが偉くなる、ということですが。天皇より上皇が偉い、関白より太閤が偉い、将軍より大御所が偉い、水戸藩主よりご隠居の黄門さまのほうが偉い(このひとは「前中納言」つまりとっくに中納言を辞職してるけど、中納言なみにエライんです)。

で、さらに面白いことに、これは失脚して罷免されても、流罪になって官位官職を剥奪された場合でも、同じなんです。世間は前の官職の名前で呼んでくれるんです。伊豆の頼朝が流人なのに「スケドノ」と呼ばれていたように。

「官位と膏薬は一度付いたら剥がれない、んです(これたしか司馬遼太郎先生の小説かなんかで読んだんだけど)。

「官位と膏薬は一度付いたら剥がれない、んです(これたしか司馬遼太郎先生の小説かなんかで読んだんだけど)。