それは、たぶん間違ってます。
冠位十二階というのは、位を「家単位」ではなく「個人」に与える、という制度です。
ポイントは「個人を一本釣りする」というところです。
これは従来の「朝廷の仕事は家単位で丸投げされる(軍事は物部氏、祭祀は中臣氏、というように)」「氏の構成員は氏上(氏の首長)が独占的に支配する(中央政府はそこに直接手を突っ込めない)」という、いわゆる古代の「氏姓制度」に真っ向から対抗しています。
個人個人を中央政府(朝廷)が直接統率して仕事をさせる「官僚制」を実現しようとする施策です。
当然、氏という「既成利益集団」からは反発されるわけで、どんくらい上手くいったか、そもそも本当にちゃんと実施されたのか、って点では、怪しいところがあります。
「家柄ではなく実力」というふうに学校で教えているのは、幕藩体制(封建制)を否定して中央集権制(官僚制)を作り上げよとした明治政府が、皇室の祖先である聖徳太子に、自分たちの理想を勝手に反映させたものに過ぎないんじゃないかな、と。
彼ら明治政府の要人たちは、みんな下級武士の出身ですから。「能力で出世できる政府が、正しい」と言いたかったんじゃあないでしょうか。
冠位十二階が実在すれば、の話ですけど(もともと藤原不比等の理想が仮託されたフィクション、という可能性もありますが、それはまた稿を改めて)。