幕府は大名から税を取らない。 | えいいちのはなしANNEX

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幕府は大名から税を取っている、と思っているひとは、江戸時代の税制を誤解しています。
税は、大名が領民から取るものです。
幕府は、大名から税を取りませんし、大名の領地に手を突っ込んでそこの民衆から税を取ることもありません。
大名の治める領地(歴史用語で「藩」という)は、ほぼ独立国のようなものであり、政治的、経済的に独占的な支配ができます。そっから取った税収は、ぜんぶ大名のものであり、何割を幕府に上納する、といったことはありません。
ただし、将軍から「いざ戦争だ、兵を出せ」といわれたら、決められた数の兵隊を引き連れて参加しなければなりませんし、そのために常時兵隊を養っておかなければなりません。戦争がないときは、その兵隊が余っているはずなので、土木工事とかに人数を出せと命令がきたりしますが、これも自前。独立採算であり、幕府からは経費も補助金も出ません。
これが「御恩と奉公」です。
幕府に、領地の独占支配権を認めてもらうのが「御恩」。
そのかわり、幕府の命令に従い「自前で」働くのが「奉公」です。こういう仕組みです。
幕府に逆らって領地を取り上げられれる、つまり改易されれば、大名は切腹になるか、どこかにお預け(ゆるい終身禁固刑みたいなもん)になり、家来は浪人になります。領地がなければ無収入です。「御恩」がなくなれば「奉公」のしようもありません。