江戸時代に庶民に名字はなかったんだから、名前からルーツなんて辿れない…? | えいいちのはなしANNEX

えいいちのはなしANNEX

このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

NHKの「日本人のお名前っ!」て番組に、文句をつけている人がいました。
いわく、日本人の9割には江戸時代まで名字がなかったはずだ。明治になっていい加減につけた名字から、ルーツが辿れるはずがないじゃないか。
江戸時代の農民も隠れて名字をもっていた、なんて間違ったことを言うNHKは、左巻きだ。
…あ~あ。
こんなことまで右とか左とか思想問題に仕立てようとする人がいるのが、なんか残念ですね。
武士だけが名字を名乗れた、庶民は「名乗ることができなかった」だけで、なかったわけではない、というのは、現代ではほぼ常識の範疇の話です。
武士と農民は、もともと同じものです。「士」は「仕」と同じです。江戸幕府が出来た時点で、たまたま仕える主人があった者が「武士」とされただけです。
人種が違うわけでも何でもないのだから、「庶民は名字を持っていない」はずはありません。ファミリーネームなしでは不便で暮らせないでしょう。
「名字は名乗るな」といわれても、長い江戸時代のあいだも内内で守り続けた者もいるでしょうし、忘れてしまった者もいるでしょう。何割何割かは知りませんけど。
家の名前がなきゃ不便ですからみんな屋号をつけます。それが名字とどう違うかなんて学術的な問題を、NHKがバラエティ番組で論じる義務も必要もありません。