時代劇は歴史の勉強になるか。なりません! なるかもしれないのは「歴史劇」というジャンルです。 | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

時代劇は、歴史の勉強になるか、どうか。
なりません。
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時代劇というのは「水戸黄門」とか「鬼平犯科帳」とか「大岡越前」とか、そういうやつのことです。実在の人物の名前を名乗っていても、話の内容はフィクションで、基本的に一話完結で、人気があればいつまででも続く、登場人物はトシをとらない、こういうのが「時代劇」です。
昔を扱っていても、時間が前進せずループしてるんだから、これは「歴史」ではありません。
ためになる、かもしれないのは「歴史劇」という種類のものです。
史実をなぞっていて、時間がちゃんと経過して、登場人物がトシを取り、主人公が死ぬとドラマも終わる、そういうヤツですね。
世間ではこれを「時代劇」とごっちゃにしてしまいがちですが、実はジャンルがまったく違います。
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歴史劇のソフトにも、いくつかのカテゴリーがあります。ツタヤにいけば、種類別に並んでいるでしょう。
①NHK大河ドラマ。かなり昔のものでも総集編がビデオになってます(上下巻くらい)。
②むかし日テレが年末二夜連続でやってた、またはTBSが元旦にやってた、テレ東が2日にやってた、二時間から十二時間のスペシャルドラマ。テレ東のだと五巻モノくらいになってます。
③映画。ひとむかし前に東映が「〇〇一族の××」というシリーズをはじめとして、太秦ベースの歴史ドラマをいっぱい作っていました。
それぞれに名作があり、個人的には①では「草燃える」とか「風と雲と虹と」とか、②では日テレの「五稜郭」とか「田原坂」とか、③では(奇跡の傑作)「柳生一族の陰謀」を挙げたいです。


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いちばん人気のある戦国時代に限定すると、
①なら、国盗り物語が基本、高橋英樹が若かったころの信長をやってます。「クラシックな信長像」が分かります。
②で忘れられないのは、TBSの「関ヶ原」。家康が森繁久弥、三成が加藤剛です。
③は「真田幸村の謀略」がケッサクです。傑作かケッサクか微妙ですが。松方弘樹が幸村ですが、真田十勇士が全員出てくるところが東映らしくていいです。ラストシーンが衝撃です。そんなバカな。東映は歴史に忠実というのではなくトンデモなのが魅力です。

NHKの大河は、フィクションが混ざっていて、嘘ばっかりだから、歴史の勉強にならん、という人は多いですが、私は敢えて天邪鬼に、そうでもないすよ、と言っておきます。
歴史に興味を持つきっかけになれば悪くありません。少なくとも戦国なんたらいうゲームにはまって、架空の(てゆうか嘘の)歴史もどきを覚えちゃうよりは、よほどいいです(そういうヤツ多いんだ、戦国時代の合戦をスポーツの試合かなんかと勘違いして「誰が最強か」とかで面白がってるヤツ)。
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もちろん、一年間四十回のドラマをずーっと見ても、そのなかに「教科書に出てくる名前」は何人も出てはきません。試験勉強の代わりとすれば怖ろしく効率が悪いのは事実です。
でも「歴史を勉強する」って、人の名前を暗記することじゃあないでしょう。簡単にいえば起承転結、「何がどうしてどうなった」というストーリーがあって、その意味があって、おおきな起承転結のなかには小さな起承転結があって、それが流れていくのが歴史つうもので、というイメージが掴めるという意味で、歴史ドラマは意味があると思います。
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でもね、一年間のドラマを毎週見続けるのは大変なんですよ。だから、まず昔の大河ドラマの総集編のビデオを借りてくるのをお勧めします。総集編だったら前後篇四時間くらいで観れます(それでも長いけどね)。加藤剛が平将門やってる「風と雲と虹と」とか、岩下志摩が北条政子でマツケン(サンバのほうの)が北条義時やってる「草燃える」とか、マアサの親父が信長やってる「国盗り物語」とかが、私は好きです。古いな。でも、「うわ、越後製菓、若い~!」っておもしろがれるだけでも、結構楽しいと思います。