いろんな意味の奥に潜む根っこ:term | 『英語職人』時吉秀弥の英文法 最終回答!

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 termという言葉はいろんな意味を持つので、英語学習者にとって取っ付きにくい単語のひとつになっています。例えば「期間」「学期」「期日」という時間的な意味もあれば、「条件」とか「専門用語」という意味にもなるし、「人間関係」という意味も持ちます。この単語の「言いたいこと」つまり「根っこ」は一体なんでしょう?

●語源から見たtermの根っこは?
 termの語源は「限界」とか「境界」です。termの派生語にterminal station「終着駅」、シュワちゃんを大スターにした映画The Terminator「始末人(これで終わりにする/決着を付ける者)」などという言葉があることを考えても、termの根っこの意味が「ここで終わり」という意味なのだということが見て取ることができます。

 termをイラストにすると以下のようになります。

term

境界があって、ここで終わり、というだけではなく、境界がなにかひとつの枠を作り出すというのもtermの持つ重要な感覚です。この枠の感覚を「時間」に当てはめてみると、時間の枠=「期間」ということから
his presidential term:彼の大統領としての任期
over the spring term:春の学期の間にかけて
と言った意味が出てくることがわかるでしょう。また、「時間の枠」=「時間に限りがある」ということから「期日」という意味を出すことも容易に理解できます。

 次に、この「枠」のイメージを「この枠内の話なら大丈夫だけど、この話の枠の外に出てしまうというのは受け入れられない」という捉え方に利用すれば、「条件」という意味が出てくることも理解できるはずです。
terms of surrender:降伏条件
条件という意味でtermが使われる時は、複数形のtermsになるのが普通です。同じく「条件」を意味する言葉にconditionがありますが、これは単数形でも使えます。
a condition of happiness:幸福の条件
ここからtermを「条件」の意味で使う時には「いくつかの条件をセットにして相手に提示する」ということが普通なのだということがわかります。
★bring A to terms with ~:「Aに~を無理矢理承服させる」
★A come to terms with ~:「Aが~をあきらめて受け入れる。」
ここでのtermsは「条件」とも受け取れますが、「限界のライン/境界線=これで終わりとあきらめる線」と捉えることもできます。
Those problems brought them to terms with the abandonment of the city.
「そういった諸問題のせいで、彼らはその街の放棄を余儀なくされた。」
→「街の放棄(the abandonment of the city)」という問題を抱えて(with)、「彼ら」が「その条件で妥協するしかないか・・(terms)」というところまで連れていかれた(bring)ということでもあり、「街の放棄」という問題を抱えて、「彼らが」「もう無理だ、これでおしまい(terms)」というところまで連れていかれたということでもあります。
They  came to terms with the peace talks.
「彼らは平和交渉を受け入れざるを得なかった。」
→彼らが「平和交渉(peace talks)」を抱えたまま(with)、「その条件で妥協するしかないか・・・/もう無理だ、これでおしまいだ」というところまでやって来た(come)。


 「条件」というのは「~という条件の中に身を置く」「~という条件に縛られて行動する」という言い方でも分かる通り「自分がいる状況」という意味に解釈することができます。ここから「私と相手の関係が置かれている状況」=「人間関係」という意味が出てきます。どういう関係の「枠内」にいるのか、という感じです。
★ be on ~ terms with A:「Aとは~な間柄だ」
We are on first name terms.
「我々は、下の名前で呼び合う間柄だ(=親しい関係だ)。」
ここで前置詞がonなのは「間柄」をひとつの舞台として捉え、どのような間柄の上に立って付き合っているのか、ということを表しています。

そして、「状況」=「~という視点で状況を見る/捉える」=「観点」という意味もでます。
★in terms of A:「Aの観点で」「Aの観点からすると」
「どの観点の枠内」でものを見ているのか、という感じですね。ですから前置詞はinを使います。
We are all humans, and we shouldn't blame others in terms of the cultural difference.
「我々は皆同じ人間なのだから、文化の違いという観点で他者を非難すべきではない。」→文化の違い、という状況の枠内でモノを見ている=「観点」
熟語でtermが使われる時はほぼ必ず複数形となります。これがなぜなのかについては、正確な理由は私にも分かっていません。

 最後に「用語」という意味で使われる(例:「専門用語(technical terms)」)場合のtermを解説します。
 用語というのは「あるまとまった意味をもった言葉」ということです。どんな言葉でも語というのはひとつの「意味の枠」を持っていると想定できます。したがって、「枠」をイメージするtermが使われるわけです。
The term "social justice" is ...:「社会正義という用語は・・」

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