英語を話せるようにするにはどうすればいいのですか?と質問されて、「できるだけたくさんの例文を覚えて口に出せるようにしましょう。」と答えると、変な顔をされることがあります。おそらくその人たちが不満そうな顔をする理由は、「芝居と違って、実際のシチュエーションでは同じ文を使うことは二度とありえないのだから、例文をきっちり暗記しても意味がない。」と考えるからだろうと思います。
確かに、例文の細かい部分まで一言一句覚えることにはそれほどの意味はないと、私だって思います。大事なのは大量の英文に触れるということなのです。必ず「あ、またこの言い回しがでた」ということが起きます。何度も同じパターンに遭遇し、それを覚えることで、以前は何回やっても口からすらすら出てこなかった言い回しが、何の苦もなく口からでるようになります。それまでそのフレーズを言うこと自体が目的だったのに、いつの間にかそのフレーズがもっと大きな文を構成するひとつのブロックとして、さらっと口から出るようになります。
英語のテストの点が取れるだけの人と、英語を話せるようになる人は、実は「文法」の捉え方が違うのです。話せるようになる人というのは、いろいろなフレーズを口に出すうちに、「楽に言えるようになったブロック」が網の目のように組み合わさることで、「自分なりの英文法の体系」「自分の使う英語の体系」というのが少しずつ大きくなっていく感じなのです。
すこしずつクモの巣が広がるような感じです。少しずつ毛糸のセーターが編み上がって行く感じです。
どのブロックも「口からすらすら出てくる」もので、当然「簡単に聞き取れる」状態のものです。これってスポーツで言うなら、完全なプレーヤーでないにしても、体を動かしてある程度プレイができる状態なわけです。一方で、テスト対策で鍛えただけの人は、そのスポーツに関するペーパーテストは点がとれても、実際に体を動かしてプレイをやったことがないわけですから、当然いつまでたっても使い物にはなりません。
ある言語においてよく使われる言い回しは、その時代ではただの言い回しに過ぎないものであっても、長い年月をかけて「そう言わなければいけない」という決まり、つまり文法になっていくのが普通です。そうやってできあがった文法のほんの一部が「テスト」に出てきます。「文法なんて所詮会話では役に立たない」という迷信が生まれるのは、「文法」の捉え方が狭すぎるからでしょう。実際に我々に必要な「文法」というのは「よく出てくる言い回しのパターン」を数多く使いこなせるようにする、ということなのです。
例えば、コーパスなんかを調べると、こんな言い回しが数多く出てきます。
Maybe we should take a day off. I don’t know.
「私達、休みをとるべきかもね。わかんないけど。」
実は「maybeで始まる文+I don't know.という文」の組み合わせは固定したフレーズと言ってもよいくらいコーパスでの出現頻度が高いのです。
他には、
How am I supposed to believe him when he lied to me?
「私に嘘をついたっていうのに、どうやって彼のことを信じろって言うの?」
実はHow be動詞 + S + supposed to (do ~) when S + V ~ ?というのも、セットフレーズと言ってよいくらい固定した表現としてでてきます。こういった言い回しは「決まり文句」というのを超えて、もはや広い意味での文法的決まりと言ってもいいのです。例文暗唱を中心に勉強していれば、こうした「使える文法(=自然な言い回し)」を習得することができるのです。繰り返しますが、暗唱が大事です。語学はスポーツと同じです。口から自然に出るようになるまで繰り返さないといけません。ピッチの真ん中で、紙と鉛筆を用意しても意味がないのです。
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