多読図書 LR(Leveled Readers)と GR(Graded Readers)の違い | 手持ちの英語を使える英語にする「話すための英語」

手持ちの英語を使える英語にする「話すための英語」

人見知りでも口下手でも英語が身につくメソッドです。学生時代に英語が苦手だった方、これまでいろいろやったけど効果が今一つだった方に。

子ども英語専門「えいごナビ」の山口です。

最初に読ませる多読図書は何がよいのでしょうか?



多読では、絵本・GRLRといった
様々な図書が活用されています。

皆さんは GR LR って、聞いたことがありますか?
違いをご存じですか?



まずは言葉の説明から・・・

GR (Graded Readers)と は、
使用する主要な単語を制限し、
全体の量や文法事項を調整し、
英語学習者が辞書無しで
読書を楽しめるように工夫された
多読用の英語教材です。


LR(Leveled Readers) 
英語を母語とする幼児~小学生向けに、
段階的にレベル分けされた絵本。
Oxford Reading Tree,
Longman Literacy Land,
I CAN READ BOOKSなどがあります。



LR と GR では、
どちらが多読を始めるのに適しているのでしょうか?


以下、沖縄県立芸術大学の
高良則子先生の発表内容をまとめました。


大学生に多読を導入する際に、
LRを教材として用いたクラスと
GRを教材として用いたクラスを担当し
それぞれのクラスの
読書量や読書記録、
アンケートの内容を振り返り、
多読導入時に使用する図書について考察しました。





<考察方法>
生徒を2グループに分け、
Bクラスには LR(Leveled Reader)
Cクラスには GR(Graded Reader)を読ませ、
同じ時間数で読了した本の冊数、
語数をカウント。
さらにアンケートを実施。


Bクラスに読ませたのは
LLL2-6(Longman Literacy Landの略。イギリスの多くの小学校で使われている。)
ORT 4-7 (Oxford Reading Treeの略。イギリスの非常に多くの小学校で使われている)
他(他にもたくさん紹介されていたのですが、メモが間に合いませんでした)



Cクラスへは BBL 4-7 (Building Blocks Library)
Foundation reading library 1-4
Penguin Kids 1-4



<生徒に人気だったシリーズは?>

LR  1位:ORT 3-4  2位:LLL (stage 3)  
GR   1位:BBL4-7 2位:Penguin Young Readers 3位:Penguin Kids



<アンケート結果>

大学生ではあるが、
「楽しい」という評価が
LR 4.2 GR 4.1 と
どちらもほぼ同レベルの高評価。

評価の仕方は5段階
(5:非常にあてはある 4:まあ当てはまる 3:どちらともいえない 2:どちらかといえば当てはまらない 1:全くあてはあらない)


LRのほうがポイントが高かったのは、
「おもしろい」
「親しみやすいストーリー」
「絵やイラストがかわいい」
「簡単な割にわからない単語が多かった」
「英語圏の文化を得られた」という項目。


一方、GR のほうがポイントが高かったのは
「内容が理解しやすい」
「知らない単語がなかった」という項目。


「子供向けで関心持てない」とのマイナス評価は、
LR/GRともに 2.1ポイント ずつで高くない。
子ども向けだと関心が持てないのではないかと心配する必要はなさそうである。


<結論>
子ども向けの易しい絵本から始めても
大学生は楽しんで読むことができた。
幼稚過ぎて関心が持てないのでは?
と心配する必要はない。

概して LR の方が評判がよく
たくさん読んでももらえる。
冊数は稼げるが語数は伸びない。
意外に知らない単語と出会う確立が高い。


GR: 知らない単語に出会わないためスラスラ読める。
和訳せずに読む感覚を味わえる。
1冊が長いので語数が伸びる。

LR, GRともに一長一短があるので、
両方をバランスよく読むことがよいと思われる。

以上


子ども英語専門「えいごナビ」の山口でした。