アトピー性皮膚炎とアレルギーとブリス | ブリスの自己主張(盲導犬ブリスと犬の気持ちがわからないユーザーとのユニット)

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盲導犬ブリスと犬の気持ちがわからないユーザーとの生活・・・


(後編)

ヨットの活動が落ち着いた頃、ブリスは体を掻くようになりました。

耳や顔周辺、さらには足の付け根です。

体を掻いている音を聞くたびに、ちょっとした罪悪を感じてしまいます。

近所の主治医であるk獣医さんではアポキル錠という内服薬を出してくれました。このお薬は皮膚の痒みに特化しており即効性もあります。

それでも根本的原因が知りたくてセカンドオピニオンとして病院を変えてみました。

ここは先代のリルハが脾臓の血管肉腫が破裂したときに、主治医のk獣医さん紹介の鵠沼にあるm獣医さんです。個人病院ながらしっかり設備が整っております。

食物アレルギーの検査をすると、数値は低かったものの、いくつかのアレルゲンが見つかりました。

ちなみに、ここの病院は盲導犬からは治療費は受け取りません。先代のリルハの手術・入院費用も無料でした。

できればこちらの獣医で継続的に診てもらえればとも思いましたが、我が家からは少々遠いのです。

現在私達が利用している獣医師会の4万円の補助金は、ここの大先生が獣医師会の会長の時に設けられたのだそうです。


近所のk獣医さんに戻ると、これまでのフードから何種類かを試して、結局療法食のドクターズケアのアミノプロテクトに落ち着きましたが、ブリスの痒みの状態は波がありまだ油断できません。

主治医からは痒みの原因はアトピー性皮膚炎と診断されました。

アトピー性皮膚炎は一生付き合っていく慢性病です。完治することは無いに等しく、痒みに対するお薬はアポキルを使用するとのことでした。

これを使うと体や外耳の痒みはほとんどなくなります。

ステロイドにかわるお薬ですが、この2つのお薬は痒みに対するアプローチは全く異なっているのです。

さらにアポキルは高額なので、体の痒みが酷くなった時にだけ続けて与えるようにして、外耳が赤くなった程度では塗り薬で対応していました。


2020年の秋。

世界中がコロナに振り回されようとしていた頃です。

所属している2つのヨットクラブも活動中止が多くなってきました。

ブリスの痒みはアポキルでしばらく落ち着いておりましたが、耳の痒みが再発、酷くなってきたので、再び鵠沼のm獣医さんへ行ってみました。

内視鏡で耳の中を診てもらうと、マラセチアによる大きなポリープがあるとのこと。

治療はアポキルの大量投与ですが、ここでのお薬代は、有難いことに無料でしたから、心おきなく使用いたしました。


マラセチアは耳だけではなく、アトピー性皮膚炎の増悪因子にもなると、何かに書いてありましたが、お薬を減らすと耳以外の部分にも痒みは戻ってきます。

お薬代は無料だからと甘えてばかりもいられません。

こちらも何かできることはないかしらと考えてみました。

マラセチアの犬には週一回マラセブシャンプーを使用すれば痒みも楽になるとのことでしたので、これを試してみましたが、週一のシャンプー&ドライヤーはかなりユーザーの足腰にはキツイものがありましてひと月でギブアップ。

やはり頼りはアポキルです。

結果としては、耳内のポリープが無くなって痒みも落ち着いてきました。

この頃になると、コロナの影響でヨットの活動中止が続き、おかげでブリスの皮膚炎に集中して向かい合うことができました。

結局、もともと元気なブリスは痒みを抑えるためにお薬を使用することで普通の生活はできますが、お薬代が高額なのでユーザーのお財布へのダメージは大きいのです。

そんなブリスの現状を訓練士に訴えておりましたら、「ブリスを協会で三ヶ月あずかり、協会の診療所て皮膚の様子を観察したい」と連絡がありました。

こちらとしては、さすがにすぐに白杖歩行には戻れないし、三ヶ月は長すぎることを伝えて、一週間に一度協会の診療所にブリスを連れて行くことにいたしました。

ちなみに協会の診療所の診察代は無料です。

それならここでずっと診て貰えばと思うかもしれませんが、ここはパピーや訓練犬がメインであり、盲導犬は地元の獣医さんで診てもらうことが基本です。

もちろんこの治療代は有料になりますが、自治体にもよります。


横浜市は盲導犬の医療費は無料となっております。また神奈川県であれば、神奈川県獣医師会からの4万円の補助が適応されるエリアも多くあります。



診療所は平日のみなので、こちらは有給休暇を取っての通いです。

一週間に一度を覚悟しておりましたが、通院の間隔はすぐに二週間に一度になり、さらに通院しやすいように配慮いただき、そして三ヶ月はあっという間に過ぎました。

ここでの観察とは、ブリスの体調とともに、ブリスに与えるお薬の最低量、痒みに対するボーダーラインの量を調べてくれたのです。

もちろんブリスは、盲導犬を続けられる元気な体ではありますが、アトピーのお薬は必要です。お薬の最低量がわかれば、薬代も安くすむということです。

ただ、近所の獣医さんに戻ると、そんなに安くはならないということで、世の中甘くはないようです。

ブリスに必要な最低量は46ミリ。

アポキルの16ミリのものを三等分して、そのひとかけらを200円にしてひと月分30かけらを毎月処方してもらっています。

その他に、ノミ・ダニとフィラリアのお薬も春から秋までは必要です。

諸々考えると医療費の補助のある横浜はすごいです。

これから横浜市のような補助犬に対して理解してくれる自治体が増えてくれればいいのですが、果たしてどうでしょう。

ブリスとの共同訓練で一緒になったユーザーさんは、やはりパートナーの皮膚病により治療費がかさんで、交代することにしたと話しておりました。

その時には他人事として聞いていたのです。

さらに、こんなことを書くと、皮膚炎の犬に対してお仕事をさせるなんてと虐待しているとも思われそうですが、そうなる前の引退だったのでしょう。

盲導犬は獣医さんとユーザーと訓練士によって健康管理されているのですから。


ブリスは盲導犬としては、素晴らしい歩きをしてくれます。とても賢いし頼りになるパートナーです。

ただ、自己主張が強いのが玉に瑕? そこがブリスのユニークな個性ではあるのです。

現状ではアトピーによる痒みは、最低量のお薬により維持されています。

少しずつ落ち着きもでてきました。

でも、お薬で抑えられているアトピーの症状が現状維持できなくなったら、引退させることも考えているのです。



こちらに、アレルギー、アトピー、マラセチアによる3種の皮膚炎について調べたものがりましたので、転記いたします。ご参考に。


1.犬のアレルギー

犬のアレルギーは、犬の免疫系が異常な反応を特定のアレルゲンに示す結果です。これは通常、花粉、ハウスダスト、食品、昆虫刺傷などに対する過敏反応です。アレルギーは免疫系に関係し、アトピー性皮膚炎やマラセチア感染の直接の原因ではありません。


2.アトピー性皮膚炎 

アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因や環境要因によって引き起こされる慢性的な皮膚疾患です。これは特定のアレルゲンに過敏反応を示すことがありますが、アレルギーとは異なる独自の病態を持っています。アレルギーとの関連性があるかもしれませんが、直接の因果関係はありません。


3.マラセチア感染

マラセチア感染は、犬の皮膚に存在する酵母の一種による皮膚感染症です。これは通常、湿度や皮膚の損傷などの要因によって引き起こされます。マラセチア感染もアレルギーとは直接的な因果関係はありません。


要するに、これらの状態は相互に影響し合うことがあるかもしれませんが、直接的な因果関係は存在しません。それぞれの症状や疾患に対する診断と治療は、その特定の要因とメカニズムに基づいて行われるべきです。



パートナーのブリスは現在6歳です。

先日は盲導犬協会主催の「6歳時コミュニケーション会」があり、同年の盲導犬が10頭あつまりました。

健康管理と引退・代替えについての2つのセッションがあり、意見交換が行われました。

デビューして4年、リタイアまであと4年という年齢になったのです。

最近は毛並みも整い見た目も中身もグッドな盲導犬です。

ハッピーリタイアまでエンジョイです。








2024年が素晴らしい年になりますように。