樋口明雄 酔いどれ犬(徳間書店・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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酔いどれ犬 (徳間文庫) [ 樋口明雄 ]
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積読本の中にあった2010年2月発行、樋口明雄センセイの「酔いどれ犬」を読了…もともとは1999年に角川書店(現・KADOKAWA)から出ていた、たぶん単行本の文庫化。かつてそこそこ売れていた役者だが、今は嫁に逃げられ、阿佐ヶ谷で細々と暮らしている飲んだくれの中年男が主人公。ある日、飲み仲間の1人が多摩川で死体になって発見される…どうやら殺しらしい。被害者は…近々閉館になる阿佐ヶ谷の名画座の支配人の息子であり、主人公は父親とも顔見知りだった。やがて、被害者の妻も行方不明になっている事実などが判明…別の飲み友達、雑誌編集者になっていた元嫁らの助言や後押しがあり、主人公は探偵の真似事をして(実は過去にドラマで探偵役を演じたことがある)、被害者の死の真相を調べ始める。やがて他所からやって来たヤクザものに目をつけられ襲われたり、行方不明だった被害者の妻から“会いたい”と接触してきたり…挙句の果てに新たな殺人事件まで発生し、どっぷり事件につかっていく。酒好きであり、喧嘩っ早く、ヤクザでも警察でも物怖じせずに掴みかかる主人公…本人は孤独を気取っているが、意外と人望もあって、周りにファンは多い。嫁も三行半を突き付けたわりには…のこのこ戻ってきて、事件に巻き込まれるしな(笑)主人公がひねくれた性格なのは、父親がヤクザで…今も服役中、他の家族、母親と妹を交通事故で無くしているというあたりに起因。この主人公が背負っている過去を含む…親子の確執というのが物語に大きく影響している。憎くても、やっぱり肉親は肉親…孝行できるときにしておかないと、後悔するぞと。昔は、こういうベタなテーマには“ケッ”って思っちゃうような時期もあったけど、自分も年齢を重ねてくると、けっこう身に染みるのよね。全体的に、いい感じにグダグダしてて、しっかり渋さやカッコよさも味わえる…正統派なハードボイルドといった印象だな。派手なアクションも、意外な真実もあって、面白かったです。


樋口明雄 酔いどれ犬(徳間書店・文庫)