([ほ]4-3)活版印刷三日月堂 庭のアルバム (ポプラ文庫 日本文学) [ ほ... |
祖父母の営んでいた印刷店を継いだ活版印刷所を継ぎ、営業を再開した孫娘の店主のもとへ、色々な事情を抱えたお客が依頼にやって来る“ほしおさなえ”の活版印刷三日月堂シリーズの3作目、現時点での最新刊を古本108円で入手…今まで同様、連作短編形式。直前のエピソードの内容が、次のエピソードの話のきっかけになっていたりするのももはやお約束…この決まりごとが“人の縁”というシリーズの一貫したテーマをより明確にしているなと、つくづく思う。今回も2巻目「海からの手紙」に収録されている、“西部劇の同人誌”の話が、最初の話に関わってくる。ただし、今までのシリーズを読んでなくても、特に気にならない、いちげん客への配慮もちゃんと感じられる。小さな旅行雑誌の編集者が、今の自分の境遇や仕事に疑問を感じた時に、取材で活版印刷、三日月同と出会う「チケットと昆布巻き」、三日月堂現店主である弓子の亡き母親の大学時代の同級生が、弓子の母親を懐かしみながら、もう1人の親友との長年の確執に向き合う「カナコの歌」、将来の進路などを決めかねている女子高生が、活版印刷に興味を抱いたことで、前向きな気持ちになったり、家族や友人との関係を見つめ直したりする表題作「庭のアルバム」、そして盛岡で印刷業を営んでいる創業者一家と弓子が出会う「川の合流する場所で」の全4編…編ごとの語り手が弓子や活版印刷に出会ったことで変化していく姿はもちろんのこと、語り手の眼を通して、今まで以上に…弓子の仕事としての活版印刷への向き合い方、考え方が描かれた作品でもあり、今後に対する決意なども見えてくる。古き良き伝統を絶やさない、継承させていくというのももちろん大事なことだが…それをどうビジネスに繋げていくのかも重要、夢や希望などの綺麗ごとだけではいけないという現実。いまのところ、この3作目でシリーズはストップしているようだが、三日月堂なら、もっと飛躍できるのではないか…そう思わせる終わり方になっていて、ぜひ今後もシリーズを続けて欲しいなって思いましたね。あと、何気に弓子さんって男心をくすぐるよね…過去作品も含む、客や仕事のパートナーとして登場した男性キャラって、けっこう弓子さんを女として意識してしまう、親しくなったことで“勘違い”してしまう人もいるんじゃないか?今後はそういうストーリーも読んでみたいな(笑)
