この心亡き者（２０２３年）

ネットフリックスで…オリジナル映画「この心亡き者（原題：査無此心）」を鑑賞…恋人の死を受け入れられず、自分も自殺を図ろうとした女性刑事が、偶然、若い女性の死体を発見したことで、死ぬことを思いとどまり、事件の捜査に深く関わっていくという台湾のサスペンス。台湾の役者さんはあまり詳しくないんだけど…メインの女優さん2人がけっこう綺麗。主役の女刑事を演じるのはチャン・チュンニンっていう女優さん…ネットでフィルモグラフィを調べたら、「シルク」「殺人犯」「ハーバー・クライシス 都市壊滅」という3作品をオイラも見てたな（覚えてないけど）。

恋人のヤンがうつ病を患い拳銃自殺を図ってしまったことで、責任を感じ、自身も死を選ぼうとするウー・ジエ警部補…ヤンと同じく車の中で自分の頭を撃とうとした時、近くで若者グループが騒ぎを起こし邪魔をされる。実は、その若者たちが若い女性の死体を発見していたのだ！ウーは仕方なく、警察に通報する。その後、ウーの精神状態を心配した上司から、新人刑事のウェイシャンと組み…今回の事件を担当するよう命じられる。身元不明の被害者は、検死の結果、指が切断され、心臓が抜かれていた。やがて被害者が移民労働者であることもわかり…。

主人公が恋人の死を受け入れられず、自殺願望があるというのは「リーサル・ウェポン」（1作目）のリッグスと似た設定…冒頭、河川敷に停めた車の中で、まさに拳銃自殺を図ろうとしていた瞬間に、邪魔が入り（実際に撃って外れる）…何事かと外に出て、川に若い女性の死体があるのを見つける。その死体を最初に見つけた若者グループが騒いでいたのだ。とりあえず、自殺は後回しにして、事件を通報する主人公。現場にやって来た上司から…“なんで、休暇中に、河川敷なんかにいたんだ？”と不審がられ…自殺未遂を起こしていた事実も見抜かれてしまう。

上司の判断で事件を担当させられることになった主人公。お目付け役として…警察学校を首席だという新人の女性刑事とコンビを組まされることに！クール系美女の主人公に対し、新人刑事は可愛い系…正直、刑事に見えない、向かなそう。日本の警察ドラマだったら交通課の婦警あたりが似合いそうな感じのレベル。実際に、死体の検死に立ち会って、ゲロを履きそうになったり、最初はかなり頼りない。しかし、頑張って先輩に食らいついて…徐々に相棒として認められていく。当初は被害者の身元がわからなかったが、途中で移民労働者であることが判明。

背後に不法移民が関わっているのではないかと考え…女刑事2人は1人の男を疑いだす。その男は…被害者の恋人でもあった。表面上は、元カノだから関係ないとか言ってるんだけど…実は、被害者が死体で発見される前、行方不明になっている時から居所を捜していたのだ。視聴者の立場では、“何か情報を握ってそうだけど、犯人じゃなさそう”って印象。案の定…その通りだったんだけど、ここでの判断ミスのせいで、大きな失敗をしてしまい、主人公は捜査課から外されてしまう。しかし、容疑者扱いしてた被害者の恋人と共に主人公は独自の捜査を続ける。

派手さはないが…全体的に猟奇的で、ダークなトーン。検死のシーンなどは「CSI:科学捜査班」や「NCIS ～ネイビー犯罪捜査班」ばりにリアルでグロい。ミスディレクションが巧いので、胡散臭い登場人物たちがみんな怪しく見えてきたりもする。しかし、しっかり見ていると、ミステリー的にもフェアな伏線で、意外性も演出…とにかく正体を現した真犯人が、言動も、動機もみんなキモかった。真犯人が狙う新たな被害者がおり、主人公とその仲間たちは不正規な捜査を続けることで、ピンチにもなる。だから、この手のミステリーって、独断専行は禁物なんだよね。

最終的に、主人公と犯人が一対一の対決をするところは「羊たちの沈黙」のようでもあった。普通に考えて、主人公が勝利するだろうと思いつつも、シュチエーションがなんだか「SAW」っぽくもなってきて、なんかこのまま主人公が負けちゃう、後味が悪い韓国映画的バッドエンドもありかな？なんて…最後の最後までどちらに転ぶかわからなかったよ。また、犯人との戦いの中で、負傷した脇役、そして狙われていた新たなターゲット…その生存なども気になってしょうがなかった。ネトフリって…この手のダークなミステリー、サスペンスって、けっこう当たりが多いな。

監督：ツァオ・インティン

出演：チャン・チュンニン　イーサン・ルァン　ユー・アンシュン　サジー・アピウォン　クロエ・シャン

【過去のチャン・チュンニン出演作品はこんなの…】

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