嘆きのピエタ 感想/ピエタは観やすいがまた過激なキム・ギドク「メビウス」9月5日~韓国で上映開始 | 映画時光 eigajikou

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世界の色々な国の映画を観るのがライフワーク。
がんサバイバー。
浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
今は主にTwitterとFilmarksに投稿しています(eigajikou)

『嘆きのピエタ』
피에타
Pieta 
浜松シネマイーラで鑑賞
9月27日(金)まで

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昨年のベネチア映画祭での
イ・ジョンジン、チョ・ミンス、キム・ギドク監督
俳優の2人劇中と全然違います↓

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↓予告動画はこちら


監督・脚本:キム・ギドク

出演:チョ・ミンス
   イ・ジョンジン
   ウ・ギホン
   カン・ウンジン
   チョ・ジェリョン
   イ・ミョンジャ
   ホ・ジュンソク
   クォン・セイン
   ソン・ムンス
   キム・ボムジュン
   ソン・ジョンハク
   チン・ヨンウク
   ユ・ハボク
   ソ・ジェギョン
   キム・ジェロク
   イ・ウォンジャン

韓国の鬼才キム・ギドクが、
第69回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したサスペンスドラマ。
債務者に重傷を負わせ、
その保険金で借金を返済させる非情な取立て屋のイ・ガンドは、
親の顔も知らずに30年間、天涯孤独に生きてきた。
そんなある日、ガンドを捨てた母だと名乗る謎の女、
チャン・ミソンが突然現れる。
当初は邪険に扱い、残酷な仕打ちもしたガンドだったが、
ひたすら謝罪を繰り返し、
無償の愛情を注ぐミソンを次第に母親として受け入れていく。
やがてガンドが取立て屋から足を洗おうとした矢先、
ミソンは姿を消してしまう。
(映画.COMより)

この作品はベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しただけあって、
過去のキム・ギドク作品とは違い、
異例な分かりやすい作品となっていました。
今までのような常軌を逸したヘンな人たちの話ではなく、
(それはそれでパワフルなキム・ギドク・ワールドでしたが)
資本主義、拝金主義の底辺であえぐ人々が描かれています。

舞台はキム・ギドク監督も働いていたことがある、
ソウルの清渓川(チョンゲチョン)。
昔ながらの町工場が並ぶ工業地帯。
近年は金融街に押され、
開発の名のもとに急速に廃れつつある地域。
ここでわずか10日間で撮影されたそうです。
撮影監督のメインのAカメラと
キム・ギドク監督自身によるBカメラの2台で効率よく撮影とのことで、
そのスピーディーな緊張感とライブ感、
リアリズムと熱気がルックに現れていました。

本当にここまでストレートにリアリティーのある
分かりやすい作品とは意外でした。
監督は「金銭によって傷つく人間を描きたかった」と語っていますが、
そのメッセージが暴力的にガツンと伝わってきます。
得意のユーモアや強烈なヴァイオレンスや、
衝撃的なシーン、性的な描写もあります。
でも、この作品は明らかに過去作と一線を画す明快さがあります。
サスペンス仕立てでもありますので、
ここで多くは語りません。
分かりやすいとはいえ、へヴィーな内容ではありますので、
どなたもお気軽にどうぞという作品ではないです。
ただ、キム・ギドク監督作品は分かりにくいのではと、
今までご覧にならなかった方にはおススメします。
分かりやすいと言っても、
映像やセリフで何でも説明してしまう分かりやすさではありません。
メッセージや、描かれる人々が分かりやすいという事で、
かえって、観ていて考えさせられることは、
多くて重いかと思います。

セリフの少ない謎めいた女性ミソンを演じた
チョ・ミンスの熱演には目を見張ります。

初めは憎々しく残酷な男イ・ジョンジン演じるガンドが、
急速に人間性に目覚めていくのも見所です。

この映画を観て一番の驚きは道徳的な作品だったことです。
アンモラルではありません。
アンモラルな描写はありますが主題が道徳的なんです。
チョ・ミンスがインタビューで
「『嘆きのピエタ』は何を隠そう、啓蒙映画なんですよ。(笑)」
と語っていました。
だから、今までのキム・ギドク映画を観てきていると
意外な作品となります。


新作『メビウス』はまた衝撃的な内容のようで、
(父の浮気によって破綻した家庭で育った男が、
俗世を去る過程を描いた映画)
実質韓国国内の上映ができない判定を2回も受けてしまいましたので、
「制限上映可判定を2回も受けて非情に苦しい時間を過ごしており、
自分の肉を切るようにフィルムを切りながら再審議を準備します。」
と語ったキム・ギドク監督は、
3度目の編集をし直し、公開にこぎつけました。

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↓「メビウス」動画



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