傑作!傑作!股旅三人やくざ | 東映映画と殺人事件を追いかけるブロガー

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やくざ映画全般、時代劇、馬鹿映画、空手映画が大好き。写真は竜虎一代より鶴田浩二と佐久間良子

さんこんばんわ。
今年に入ってから、記事更新回数15回と我ながら、らしさが出とるばいと感心している高血圧痛風、40歳固定親父です。

映画はぼちぼち観ているのですが、持って生まれた性分のせいか、皆様の記事にも観るだけで、ほっほう、まめやなあ~でコメントもせず御無礼しております。毎日更新されている映画ブロガー様は誠に素晴らしい!(A型っすか?



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      本日の東映映画

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股旅三人やくざ 1965年 沢島 忠監督

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★この作品の世界観に惚れました


3話構成からなるオムニバス映画で、中村錦 之助、仲代達矢、松方弘樹がそれぞれ主役を 演じる。絵から抜け出た ような三度笠の魅力 を、哀愁と長脇差勝負の中に見せる本格派の 第1話。人生に疲れた老やくざと世の中から はじき出されてグレた若いヤクザを対比させ ながら、漂う人情の美しさを描いた第2話。 やくざの世界に憧 れた青年の夢をユーモラス に描く第3話。股旅物のエッセンスを存 分に 盛りこみ、男の世界の郷愁を謳いあげた娯楽 時代劇。
3 3話構成からなるオムニバス映画で、中村錦

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「秋の章」――片目のやくざを斬った千太郎は、金兵衛親分から 遊女おいねの見張りを頼まれる。おいねは一度だけ遊んだ 伊之助という男が自分と所帯を持ちたがっていることを知り暴れたのだ。だが伊之助は、千太郎が斬った片目のやくざだった…。


とにかく画作りが抜群に美しく全てのショットが一枚の絵画にさえなっています。隅々まで計算されている構図に酔いしれます。この絵創くり、最初の5分だけで良いものを創りたいと言う情熱が伝わって来ます。それだけでなくシナリオの笠原さんが、これまた上手いときてます。特に台詞。染み入りすぎてクラクラしちゃいましたね(女渡世人おたの申しますを凌いどりました)遊女おいね。顔も名前も忘れてるのに自分を好いてくれる、ただその想いだけを心のよりどころにしている、すがるしかない健気さに胸を打たれます。桜町弘子がとにかくいい!

・私早くお婆ちゃんになりたい…
・あんたは二日間だけ私を普通に過ごさせてくれた、そっちのほうが長いんだよ…


この映画を観ると基本的な事が出来ている上で、映画を撮っている。基礎が出来ている事がどれだけ大切か?思い知らされます。傑作って簡単に言うのがおこがましい位の出来でした。ラストのショットもすこぶる上手さでした。



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「冬の章」――父が賭博で身を崩したことから やくざになった源太は、老やくざの文造と茶屋に立ち寄 る。死んだ母親を埋葬してきたという店の娘みよに対し、 文造は父の親友だと名乗り金を渡そうとするのだが…。


志村喬の前では松方さんも藤さんも、まるで歯がたちません。その存在感はさすがです。いるだけで、高倉健と同じなんですね。(健さんは基本は存在感のみの俳優、志村さんはどちらも兼ね備えています)
セット撮影なので広がりには弱いところも有ります。秋の章と違いロケの力で質を高める事が難しいのです。時間も40分なので、その中で厚みを持たせるのは並大抵ではいかないでしょう。これが90分なら別です。その中で位牌のショットで終わるなど的確な上手さもありました。親が子を、子が親を、それぞれ思う気持ちが端的に解かる佳作です。シナリオは中島貞夫です。


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「春の章」――渡世人の久太郎は村長の三右衛門に頼まれ、 代官所の役人である半兵衛を斬ろうとするが、剣の達人で ある半兵衛に軽くあしらわれてしまう。村人たちは別の渡 世人である仙三に半兵衛殺害を依頼するのだが…。

股旅三人やくざを評価している人の多くが高く評価してるのが、中村御大の春の章です。まず、ロケーションがいいです。いや、御大も勿論ですが、この章の出来の良さの半分は撮影の上手さである事は間違いありません。それも全く厭らしさを感じさせないギリギリの按配なので、まあ、心憎いです。御大もセルフパロディ満載で、ふり幅の広い役者である事を再認識させる傑作です。で、この章はラストシーンがセンスに溢れています。一面の菜の花畑で、全を捨てて一本道を走り去るって、まあ、逆関の弥たっぺなんですね。カメラが右に移動して軽快な音楽で〆るという、おいおい、センスありすぎやろ!と惚れ惚れしちゃいましたね。シナリオは野上龍雄です。



この3編のオム二バスから感じられる事は、沢島 忠監督の映画監督としての、引き出しの多さと、その上手さですね。どれも水準以上で、製作から50年経っても全く遜色ない出系栄えです。機会があれば是非ご鑑賞下さいね!


おまけ





次回は、東映エログロ映画の極北、リーサルウェポン、封印映画 
徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑予定しています。映画とは見世物小屋でもある!と言う裏ヒューマニズム映画をレビューしたいと思います。多分、初のアメンバー記事の予定です。倫理観120%無視の、確信犯映画ですので閲覧注意ですよ



汐路さん大暴走!

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おわり