梟 | しあわせになりたかったのに

しあわせになりたかったのに

すみませんでした。

路地裏、建物に挟まれた通路の先、梟、店の鍵を開けると、玄関に小さな陶器の洗面台、奥のカウンターには古い雑誌が積まれ、その向こうに框、三畳一間、赤い電灯の下、薄い布団と、桶に乗せたポンプがふたつ、タイマーを合わせる電子音、黒いワンピース、53歳、缶の烏龍茶を手渡し、引き戸に鍵をかける。