その②からの続き…
さてさて…話をもっと前に戻して、
信長たまと光秀ことミッチーの因果なのですが…
信長たまは宿命は追うモノの実際は自分が上に立つ必要性は考えていませんでした。
これは疑問を感じる人が多い部分と思われますが、
先ず、宿命たる天下万民の平等なる機会という部分では、
自分の理想を実現する土台さえあれば、
自分が上に立たずとも成し得るという考えでも有ります。
そして、幸若舞「敦盛」を好んだ事実。
まあ、諸説色々な想像が錯綜するところですが…
有名なシーンは桶狭間の戦いの前に舞ったという点。
桶狭間の前にこの句を舞ったという事は、
死を決した意味をっ含みます。
無論、勘違いしたクレージーな宿命論者とはいえ、
死ぬことは怖い事です。
まして定めを信じてここで死なば、その定めは何も意味しません。
かといって今川に怖気づいて恥をさらして死ぬは、
定めをも汚す事と成ります。
そこで、人の一生はいずれは滅ぶもの、
定めは所詮夢事なのかも知れぬが…
定め有ればこれを汚すことなかれ…
と覚悟を決めたところです。
まあ、「うつけの兵法」では
実は勝算を見出しての出兵だったとするのですが、
それでも自分の勝機は結果が出ねば解らぬこと、
故に、最後は
「死を決して勝機を逃がすことなかれ!!」
と自分を戒める意味でこの句を詠んだとします。
ただ、桶狭間以降もこの句を好んだというのがポイントで、
ゲン担ぎとも考えられますが、
逆に生への執着をすて定めに成就せんという意味で
捉えられることも出来る部分です。
生いわば現生への執着が無ければ、
いくら財を得たとしても、死なば無意味、
いくら権力を維持したとしても死なば無意味、
ただし善為すところ成就すら場、死して尚も名を残せじ…
幸若舞「敦盛」の句の意味を追求していけば、
そういう真理に結びつくとも考えられます。
よって財も権力も宿命を全うするための道具ではあれど、
必ずしも必要なものでは無く、
それが他に属するモノであっても、助けとならば奪う必要も無し。
これは徳川との同盟を大事にした点でも言えます。
故に、足利義昭が将軍たる器で、
玄徳の様に信長の補佐するところを理解していたのなら、
信長の力によって足利家再興は成し得た事でしょうし、
それ以前の応仁の乱などの習わし同様に、将軍家を立てて
それで事を納める事は不思議な事では無いとも思われます。
よって信長の膨張された野心は、後世の俗が己の野心と照らし合わせて、
信長を俗物化させた空想とも言えます。
筆者がこうして信長たまの意図する意味を好意的に考える様に、
ミッチー(光秀)も信長たまの生き様を好意的に捉えていたと考えたかも知れません。
ミッチーが曹操と同じ感じなら、
人間の良識に惹かれる点は言えます。
曹操が玄徳の真っすぐな生きざまに惹かれ、
以前大事に扱っていたように、
関羽の玄徳に対する忠義に惚れ込んだように・・・
信長が私心を捨てて真っすぐに定めに対して生きていくのなら、
自分はそれを補佐しても構わない。
玄徳に対してはそれで自分を補佐して欲しいと考えた様に…
信長の夢に付きあっても良いと考えたとも言えます。
ただ…人間のそういう善的な部分の思考は、
意外にもモロク崩れやすいので、
当てには成らない、恋愛に似た感情といえます。
いわばその人に惹かれる切っ掛けには成るが、
時が立てば、夫婦と一緒で惹かれた部分は醜悪な部分が見え始めて、
徐々に薄れていく。
玄徳が曹操を信じなかった部分は、
惚れやすく冷めやすいタイプだったという点で、
人の醜悪な点を見出す事にシフトする人間だったという事です。
これは人に対する潔癖症な人間が陥りやすい深層心理なのですが、
自分が完璧と自負するがゆえに、
他人の醜悪な部分に猜疑を持つというモノです。
光秀が自信を「治世の能臣」と位置づけるがゆえに、
己こそが絶対たる真理そのモノという内に秘めたる気持ちがあるゆえに、
信長たまと何れは対立し始めるのです。
信長たまの不運な点は、真っすぐ故に煙たがわれ、
理に適うがゆえに恐れられる。
孔明=としましたが、皆さん…孔明の怖さをご存知ですか?
自分の意見よりも更に優れた見識で異を唱える。
普通の君主ならば、自分は孔明に良い様に使われると錯覚してしまうのです。
孔明が引きこもりのニートとして暮らしていた理由も、
その辺を知っていての事だったといえます。
恐らく引きこもりニートに成る前に、何度か仕官したと思いますが、
アイデアを出しても拒絶されたり、
ある意味当時の常識に押しつぶされたりといった感じで、
ほぼ役立たず扱いされていた感じだったとも思います。
これは現代で言うなればSONYでプレーステーションを開発した
久夛良木 健氏の奮闘みたいな話が近く、
彼の場合、大賀典雄というSONYの実力者が玄徳だったのかもしれません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/PlayStation_(ゲーム機)
まあ、孔明の場合、彼の才能にとっては窮屈過ぎた
恐らく劉表の陣営を見てニートに成った方がマシと考えたとも思われます。
孔明のアイデアは素晴らしいが金が掛かる…
なんて言われたら…無能に成っちゃうしね…
連弩に木牛流馬を考えて、研究費を下さいと言っても、
自分でサンプル作って持ってきなさいって言われて、
…木材加工するのが苦手なんで、誰か設計図を加工してくれない…
何か…オッサンが原作書けても漫画に落とせないからダメと
編集者に言われたのを思い出すね…
現代っ子のように、上があれではどこに行ってもダメだな…
韓信の様に一生懸命アピールして仕官を探す様な努力もしない、
まあ、三顧の礼以前の話を考えれば最近巷で言われるニート説は、
かなり現実的な所だったと思います。
まあ、オッサンも副収入で暮らせるから、
作家活動は気が向いたらなんて感じでやっているように、
農作業で食っていけるし面倒だからまあ良いか・・・
孔明もそんな感じだったりして…
ただ、玄ちゃんが誘ってくれて、すべて自由にやらせてくれたから、
南荊州と蜀を分捕って、曹操の作った魏を虐めてやったぜ…
って出来たわけで、
計略にしても何にしても悪い事考えて実行しても、
全部、自分が悪い子ちゃんで、玄ちゃんは流されただけという
蜀漢というイメージが損なわれない国づくりも出来た訳です。
それは何もかも玄ちゃんが孔明を信じて任せてくれたがゆえに出来た事…
でも、あれだけ恐ろしい悪い子ちゃんに成れるような才能を、
自分の下に置いたら…本人が乗っ取る意識が無くても、
乗っ取られると錯覚してしまうのでは…
因みにまさか孔明が…と考える
孔明だから有り得ない…と考えるようでは孔明は絶対に見向きもしません。
そういう人間に限って、自分を使いこなせない君主なのだから…
まあ、孔明のやる事を理解し、時にはそれでは方向性が違うという、
明確に孔明と向き合って理を解ける人間でなければ、
ただ恐ろしくなって逃げていくだけとも言えます。
故に、玄ちゃんは凄いんだぞ!!BY ショーエイ
とはいえ信長たまも同じ状態で、
斯波氏立てても斯波氏が猜疑を抱いて信長を邪魔者に感じ始める。
宿命を背負っている故に、
自分の理想を口やかましく訴えるし、
邪魔者として手を出してくれば宿命の為に悪い子ちゃんに成って、
乗っ取るしか無くなる。
まあ、誰か良い子で居させて…という感じで、
玄ちゃんの様に全幅の信頼を置いて任せてくれれば楽なのに…
これは足利義昭も同じで、結局自分を前に出そうとして、
最後は信長から逃げていく。
ある意味、信長たまの性格も問題で、
丁寧に主君を扱う故に、その主君は勘違いを起こして、
織田軍団が自分のモノにできると錯覚する。
錯覚し始めると勝手に物事を遂行し始めて、
信長たまの意図するところを外し、
逆鱗に触れて説教を食らう。
丁寧に扱う姿勢と逆鱗に触れた時の鬼の様な感じのギャップが恐ろしくて、
みんな逃げ出したくなる…
実際、信長たまは女性に近い感じの人で、
良妻に努めている女性が、夫の浮気に激情して急に怖くなるような、
そういうイメージの人です。
こうなると…亭主は萎縮するか、逆上してDVに訴えて黙らせるか…
でも、奥さんが吉田沙保里さんみたいに強かったら…
逆にぶっ飛ばされますよね…
そうやって恐妻に成っては離婚を繰り返すうちに、
イメージが杉田かおるさんみたいになっちゃうのもご理解いただけますでしょうか…
まあ、あそこまで行くと良妻を装ってても、イメージ定着しちゃって、
いつ恐妻に変貌するか解らない…そういうイメージ信長たまには付随してくる感じ…
単純な話…浮気しなければいいんだよ…戦国的な意味合いで…
長いけどその④まで続く…文字制限が邪魔!!