オバマ君・・・
とりえずシリア領内のイスラム国空爆・・・
アサド政権が何も言ってこない状況なら批難はしませんが・・・
我武者羅に空爆を行っても意味が無いです。
ただ、現状北部地域を狙う状況は妥当だと思いますが・・・
イスラム国の排除と言う名目では、
作戦実行の士気が乏しく、出口または目標が見えにくいと感じます。
名目を打ち立てるなら
「イスラム国内の非戦闘員および難民の安全誘導の為の空爆」
とすべき。
勿論、地上部隊は現地の戦闘員のみな訳ですが・・・
いかに民間人を安全な場所へ誘導できるかが
この作戦の鍵となります。
何故、これが鍵となるかというと・・・
空爆によって民間人犠牲者を出せば出すほど、
イスラム国のプロパガンダを有利にされるからです。
現状イスラム国の作戦は占領地域における
子供たちを拉致するものが考えられます。
恐らく子供たちには「安全地域へ誘導」という形で
洗脳の第一段階にあるでしょう。
ここでポイントとなるのは、その親の存在です。
彼らが長期的に作戦を練る場合、
拉致した子供たちに空爆に対する憎悪を与える事が、
自分たちの士気を高められる口実できます。
「空爆で両親を失った子供たち」
こんなプロパガンダを利用されると、
まず、その子供たちは復讐心による洗脳が容易になる。
さらにその目的と裏腹に彼らを優先的に保護したという形で、
空爆という惨劇を煽ることで、
反米感情を持つ人間を勧誘していく考えなのでしょう・・・
ここをある意味成立させると
たとえイスラム国の占領地域を回復したとしても、
地下に潜ってテロリスト化した場合、
かつてのアルカエイダ同様に面倒な存在として
残り続けます。
彼らイスラム国の指揮官の頭が悪くなければ
(ある意味頭が良くなくても)、
空爆によって戦闘が不利になる事は理解できるはず。
それでも欧米の人質を犠牲にして挑発してくる行為は
空爆という状況を利用した作戦が前提にあるはずです。
そこで彼らのプロパガンダを逆利用する為に、
民間人の保護を優先させるのです。
戦闘地域に於いて、あらゆる手段を講じて民間人を安全地域へ誘導する。
例えばヘリコプターを利用して呼びかける行為が最善ですが、
ヘリコプターでは敵に打ち落とされる危険性があります。
そこで無人機を改良し、スピーカーを取り付けて
避難場所への誘導を行う。
勿論、現実的に考えれば避難場所へ逃げ込む以前にイスラム国戦闘員の目を逃れることが困難となり行動できない可能性が高いでしょう・・・
そういう場合は彼らに選択枝を与えるしかありません。
まず、何時何処から空爆を行うという宣告を呼びかけます。
勿論、敵に情報を与える行為なのですが、
第一段階として呼びかけ、
命がけで避難場所へ逃げ込むか、
空爆で命を落とすかを選択させます。
そしてさらに空爆地域に残る選択をした人たちに、
地下など空爆の被害から逃れられるポイントを第二段階として指示します。
それでも犠牲者は免れないのはもうどうしようもありませんが、
大事なのはこうした人道配慮を行って空爆していると言う事実なのです。
さらに地上部隊は占領目的では無く、避難地域へ逃げようとする人たちをバックアップする作戦を徹底しなければなりません。
占領目的では無作為に攻撃してしまいがちなのですが、
人道目的を徹底することで、
空爆前の行動は外からゆっくりと行う作戦を意識させます。
これにより地上部隊の無謀な突入を回避させ、
外堀から埋めていく犠牲の少ない作戦で、
貴重な地上部隊を心理的に教育します。
使用するものは極力煙幕的に戦闘地域の視界を妨げるもの。
相手の視界を遮る状況なら、逃げる人たちも避難への可能性を見出せるはずです。
より詳しい作戦は、軍事に携わる人のほうが明確に出来るでしょう。
ただ、彼らにそういう作戦を考えるように要求しなければ、
可能性を模索する事に労を費やしてくれないだろうという事です。
こうした避難民を極力保護していくことで、
イスラム国の打ち出すプロパガンダに矛盾を生じさせます。
矛盾を生じさせることで、その目的も曖昧にしていくわけです。
矛盾の「死んだと思っていた家族が生きていた」という心理。
恐らく拉致される子供たちは情報を操作されて、
空爆後、死んだと知らされるでしょう。
そこへ実は保護されていたと知った時、
彼らの心情には解れが生じてきます。
勿論、全ての子供たちがそれに当てはまるわけではありませんが、
こうした解れが出てくると、内部から指導者に対する疑心暗鬼が広まっていきます。
地下に潜ったテロリストを壊滅させるには内部崩壊が一番の得策で、これによって情報収集のルートが発生してくるのです。
また、相手に矛盾が生じている以上、彼らには正当性を感じられなくなり勧誘される人も減少していくことも考えられます。
今、現在アメリカに対するプロパガンダは、
冷戦時代によくあった
「アメリカの帝国主義、ご都合主義」
であります。
これによって反米感情を持つ人たちは、アメリカ=悪と認識しやすくなります。
では、アルカエイダの崩壊の時は・・・
意外と国連重視の姿勢を見せていました。
国連決議や国連の査察を前提に行動するようにしていた訳です。
これによってロシア、中国を含めて国際協調という印象が強まったため、
アルカエイダのプロパガンダは過去の遺物という印象が出てきたと考えられます。
特にアラブ諸国に対しては国際協調で存在感を認められた雰囲気が与えられ、欧米の隷属的な印象が薄まったと感じられたからでしょう。
さらにグローバル化によって経済的な魅力も高まり、
ドバイなどの現代化した都市の登場で、
アラブ諸国の人々に欧米的な発想に憧れる意識が芽生えたのも事実です。
よってアルカエイダのようなプロパガンダに興味を引く人間が大きく減少した事に説明が付きます。
所が、オバマ政権で興った「アラブの春」を「自由への革命」と勘違いしてサポートした事で、逆に欧米に対する隷属意識が高まったわけです。
一見、「何で?」と疑問に思われるでしょうが、
イスラム教徒からしてみれば、
若者が欧米に洗脳されてしまったという印象を
持たせる意味合いが生じているわけです。
ポイントは革命を欧米がバックアップしたことで、傀儡政権の誕生を目論んでいると考えられる点です。
これが逆に「公平な選挙の実施」というサポートであれば、
大きな疑念には発展しなかったと心理的に考えられるわけです。
シリアやリビアで興った革命軍支援というものは、
現状維持という保守派の人々からすれば煽動して侵略しようとしている行為に映るとは思いませんか・・・
ある意味、「欧米が強制的に政変を起こそうとしている」と感じられるのです。
では、「公平な選挙」をサポートする行為は?
それならば欧米の強制力ではなく、その「国民が選ぶ」という印象を与えます。
勿論、欧米が選挙を操作する可能性が考えられますが、
「公平」と謡う意味合いは、操作が入れば不正が伝わるシステムで選挙を行うという事です。
これは欧米側だけでなく現政権側も同様で、
相互に監視や投票ルールを「公平」と言う名目で定めた上で実施されるものなのです。
こうした運動を進めた上で、現政権側がその実施を拒むのであれば
強制的な行動も保守派の人から概ね理解されるのではと考えます。
そこを無視して強制排除の革命では、はっきり言ってその目的の意図が当事国に適切に伝わることが無いと考えます。
ウクライナの場合は、公正な選挙に応じた前政権を革命によって強制排除したからロシアが怒ったと理解しています。
故に、筆者がロシアを弁護していたわけです。
こうした心理的な配慮を考えていなかったオバマ政権ならびに欧米の政治家がイスラム国のような指導者に、彼らのプロパガンダ生み出す切っ掛けを与えたと考えているわけです。
「帝国主義、ご都合主義」こういう印象は我々にも薄々感じられるのでは・・・
少なくとも絶対的な信頼は持てないのではないでしょうか。
勿論、以前にも話した様に、我々もプロパガンダに流されていて、中国やロシアに対しても信頼を置けなくなっています。
そこで二者択一の選択によって、信頼できなくとも我々サイドの欧米に身をゆだねている訳です。
これで果たして安全なのか・・・
欧米が信頼の置けない状況を維持して、
テロリストにプロパガンダ、または大儀を与える口実を提供する限り、
テロリストが秘かに何処で何を企むか安心できない状況が続くのです。
特に日本と言うより、欧米諸国にとって、
この脅威は増加するばかりです。
イスラエルのように、脅威と報復の連鎖で
脅威を増幅させる時代にしたいのでしょうか・・・
あの国は現在停戦中であっても、誰が何時テロを仕掛けてくるか
安心できない状況です。
恐らくあの国のように、あそこまで怨恨が蔓延してしまうと、
組織単位でなくとも、個人単位でテロを行う状況に成ってしまいます。
もし、これが我々の目指す世界ならば・・・
とっても凄い地獄絵図が浮かびますね・・・
警察はテロ対策に追われ、
それ以外の犯罪は軽犯罪のように感じられる・・・
イスラエルのように単一宗教でない国であれば、犯罪がそれに乗じて蔓延するのは目に見えて判ります。
ある意味、アメリカはどうなるんでしょうね・・・
悪を蔓延らせたい世界を目指すなら・・・
このまま・・・このまま・・・
その時は、「目指せ!大魔王!」だね・・・
そういう世界にしたくないのなら、
相手のプロパガンダを取り除く事に尽力を尽くすべき!
そういう意味で「イスラム国への作戦」も単なる空爆では意味が無いと考えられるわけです。
よって政治家は作戦目的を明確にして軍を投入する必要が有ります。
一応、米軍の最高司令官は大統領なのだから、
「ただ空爆する」
だけでは占領目的の空爆でしかなくなります。
そうでなく「避難民の安全誘導を保護する為の空爆」とすれば、
無茶振りな様でも、
軍部はその為の作戦を考えるのではないでしょうか。
また、そういう意識を持たせることで、
戦争に従事する軍人たちの正義感を補助してやることも大事です。
もちろん避難民の安全ルート確保の為、イスラム国占領地域を回復していかなければならないわけで、最終的には同じ状況をめざすのですが、
実行していく局地戦での効果が、
最終的にグダグダに成るのか、
引き締まったものに成るのか変わってきます。
もしこれをグダグダに終わらせてしまうと、
参加したアラブ諸国の政情が、
後々に最悪を齎すことになるのではと危惧します。
そうなれば地獄絵図への設計図が見え始めてくるかもしれません・・・