利尻は最近ずっと天気が悪かったです。
利尻山も雲の中。しかし、雲間からお山が見えるのは、これはこれでなかなか良いのです。
雲の向こうに聳えている山を想像できるのが良いです。
今日の絵本は
いらないねこ
ヒグチユウコ 作
白泉社
いらないってどういうこと?と思ったら、捨て猫のことでした。ニャンコが捨てられた子猫を拾うのです。しかも他の子猫が死んでしまって、かろうじて息のあった子猫を拾ってお父さんになるのです。
ニャンコからも、アノマロからもいじわる猫からも、本屋のねこからも愛されて子猫はぐんぐん育ちます。ニャンコよりも大きくなって、里親のところへ行きます。
捨てられたから、いらない猫なのか?と言えばそうではありません。それを拾って育てたニャンコにとって、(家族同様になったアノマロやいじわるねこにとっても、)かけがえのない大切な猫になったのです。
全ての命がそうだと思います。
私も何匹も猫を飼いましたが、全て引き取った猫。もちろん捨て猫もいました。
そんな猫だからこそ、
「生まれてきてくれてありがとう」
と言いました。
この中には、本当の感謝が込められています。その猫と出会って育てたり毎日一緒にいることで、自分が幸せを感じさせてもらっているからです。もっと言えば、誰かが捨ててくれたおかげで、私が猫と生きる幸せをもらったとも言えます。嫌味じゃないですよ。
さて、ニャンコについて思うこと。ニャンコはぬいぐるみだけれど、「目」だけはぬいぐるみじゃないと思います。
ニャンコの「目」はとても繊細でシワシワしていて動いて涙を流すのです。
それも愛情や心配などからくる悲しみの涙です。それで涙を流して安心した時には心配が解決しています。悲しい思いはするけれど、これは涙で浄化されるんだな、と思います。そして、時間が経つうちに幸せがやってきます。
ヒグチユウコさんのこのシリーズの中で、涙は重要です。ニャンコは時々、相手の涙を自分の手の布で吸い取ってあげています。よく涙をこぼすニャンコだからこそ相手の悲しみがわかって、その悲しみを吸い取ってあげるんですね。そういう繊細さと優しさがこの作品の良さです。
良き一週間をお過ごしください。