令和6年4月1日から施行される改正民法において、嫡出否認の制度について大幅な改正が加えられています。

 

嫡出否認制度 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

 

現行民法においては、夫が子の出生を知ってから1年農地に訴えを提起することにより行使しなければならないとされている嫡出否認の出訴期間につき、改正法では出訴期間が延長されるとともに、嫡出否認権者が拡大されたことに伴い、それぞれの者につき、次のとおり定められることとされました(改正法777条)。

但し、改正民法772条3項の規定によって嫡出関係とされた子との間でその嫡出が否認された場合(母が婚姻中に懐胎し、子の出生までの間に複数の婚姻が行われており、再婚後の夫との嫡出性が否認された場合)、その結果として嫡出関係が認められた父親との間の嫡出については、当該父親(但し自ら否認権を行使した場合は除枯れます。)や母親、子などは更に否認することができますが、その場合には、当初の嫡出否認の訴訟において一定の期間が経過していることなども考慮して、早期に父子関係の安定を図るため、嫡出否認権者が、再婚後の夫との間の嫡出否認の裁判が確定したことを知ったときから1年間を出訴期間としています(改正法788条各号)。

また、子に代わって嫡出否認を行使できるとされている親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がいない場合も考えられますので、出訴期間の満了前6箇月以内の間に親権を行う母、親権を行う養親及び未成年後見人がないときは、子は、母若しくは養親の親権停止の期間が満了し、親権喪失若しくは親権停止の審判の取消しの審判が確定し、若しくは親権が回復された時、新たに養子縁組が成立した時又は未成年後見人が就職した時から6箇月を経過するまでの間は、嫡出否認の訴えを提起することができるものとされました(改正民法778条の2第1項)。

 

改正民法

(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第777条
 次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ当該各号に定める時から三年以内に提起しなければならない。
一 父の否認権 父が子の出生を知った時
 子の否認権 その出生の時
 母の否認権 子の出生の時
 前夫の否認権 前夫が子の出生を知った時

 

嫡出否認の出訴期間が延長されたとはいえ、出生したばかりの子が自ら嫡出否認をすることはできませんし、子に代わって嫡出否認を行うことができるとされている母親などが必ず嫡出否認の行使をするとも限りませんので、子が成長してから、父親とされる人との間に生物学上の父子関係がないということを知ったときなどに、もはや父子関係を否認する手段がないということは酷である場合があります。

しかし、長い間、父と子として生活してきていたのに、父子関係を否認することができるというのも法的安定性を害するとも考えられることから改正法は、父子が継続して同居した期間が3年に満たないときに限り、子が21際に達するまでの間であれば、子が嫡出否認をすることができるとしました(改正法778条条の2第2項本文)。但し、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでないとされています(同条項但書き)。

民法778条の2第2項の出訴期間の特則は、子自らが否認権を行使する場合にのみ適用され、親権を行う母親などについては適用されません(同条3 項)。

 

改正民法

第778条の2 
2 子は、その父と継続して同居した期間(当該期間が二以上あるときは、そのうち最も長い期間)が三年を下回るときは、第七百七十七条(第二号に係る部分に限る。)及び前条(第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、二十一歳に達するまでの間、嫡出否認の訴えを提起することができる。ただし、子の否認権の行使が父による養育の状況に照らして父の利益を著しく害するときは、この限りでない。
3 第七百七十四条第二項の規定は、前項の場合には、適用しない。
4 第七百七十七条(第四号に係る部分に限る。)及び前条(第四号に係る部分に限る。)に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、子が成年に達した後は、提起することができない。

 

 

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