https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46993840V00C19A7EA5000/?n_cid=SPTMG002
上場企業の株主総会で株主が会社議案に反対票を投じる傾向が強まっている。6月に開催した総会では、議案に対する反対票の割合が2割を超えた企業の数が332社、全体に占める割合も15%と過去最高だった。業績が振るわない経営者の再任や、独立性に疑問符がつく社外取締役の選任に株主がノーを突きつけた。投資先に「物言う」株主が一般的になりつつあり、企業は株主の声を経営に反映させる必要に迫られている。
(7月5日日経新聞から一部引用)
有料記事の為その部分はそのまま引用ができませんが,この記事の中で,所属する法律事務所の代表を務める弁護士を補欠の社外監査役候補とする議案についての反対票が4割程度であったということが触れられています。
会社法の規定では,監査役は会社の使用人などを兼ねることができないとされているところですが(会社法335条2項),判例上,弁護士資格を有する監査役が特定の事件について会社から訴訟委任を受けて訴訟代理人となったとしてもこの兼任制限には反しないとされています。
弁護士の職務の独立性という観点から,監査役と顧問弁護士を兼務することについて日弁連や弁護士会でも認められる方向での考え方が多かったといわれているところです。
(監査役の資格等)会社法第335条2項 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
しかし,東証等ではあまり望ましくないような方向で考え方に沿って基準が設けられていることもあり,私の感覚からすると,監査役と顧問弁護士を兼務するということについては慎重な考え方の弁護士のほうが多いのではないかというところで(私もそれまで顧問を務めていた企業が上場準備をするということで監査役をお願いされたので顧問契約を解消したことがあります),非公開のオーナー企業というのであればともかく,公開会社で株主の目も厳しい状況ということも踏まえると,この記事を見たときは正直意外な思いがしました。