君たちはどう生きるか
著:吉野源三郎
発行:マガジンハウス
1937年初版刊行
文中のpは、マガジンハウスの本のページ
読書感想
人生の処世訓として読んだ場合は、いろいろと示唆に富み、参考になることが多い。
グランパとしてメモした範囲を下記に紹介
まず「主体性の大切さ」
曰く「常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ」「君の魂で知ること」(p60)
次に「学ぶことの大切さ」
曰く「人類の発見、今日の学問の頂上に登り切ってしまう必要がること」(p104)
また「人間関係の大切さ、他者の尊厳の大切さ」
曰く「人間として自尊心を傷つけられるほどいやな思いをすることはない」(p139)
はたまた「人間の本来の性質への信頼」
曰く「人間が本来、人間同士調和して生きてゆくべきものでないならば、どうして人間は自分たちの不調和を苦しいものと感じることができようか」(p268)
さらに本書は、刊行が1937年という「第二次世界大戦戦争前夜」という時期に行われているので、歴史的な「制約」や「意味合い」を感じることも多い。
取り上げられる学校生活での出来事は、昨今でも大問題である「いじめ」であるが、登場人物の背景や問題解決の方法は、そのことを強く反映しているように思う。
時代は、日本がまさに他国へ侵略を戦争を拡大していっている時期であり、登場人物は退役軍人(大佐)や有力財閥子息など、それらを客観的には推進している人々である。例外的に、貧しい「豆腐屋」のせがれも登場するが、いささか不自然さは否めない。
こうした背景を含めて読んでいくと現代には通じない「古臭さ」と現代では否定される「価値観」とが透けてみえてくる部分もある。ただし、これは読み手の「価値観」にゆだねる点も多いとは思う。
そして、最後に
「すべての人がおたがいによい友だちであるような、そういう世の中が来なけれないけないと思います。人類は今まで進歩してきたのですから、きっと今にそういう世の中に行きつくだろうと思います。そして僕は、それに役立つような人間になりたいと思います」
と結んで主人公の生きる方向を指し示す。
そのうえで、
「君たちは、どう生きるか」
と問いかけて物語を終わる。
今まで題名のイメージから、青少年向けの啓蒙書くらいの認識でいたが、内容を読んでみて、ちょっと違うな、という感想を抱いた。
もちろん、今でも青少年が啓蒙書として読んでもお薦めではあるが、いろんな年齢層の人でも十分楽しめる、考えさせられる、一冊だと思う。