謹賀新年 | 編集機関EditorialEngineの和風良哲的ネタ帖:ProScriptForEditorialWorks


編集機関のシンプルマップ的ネタ帖:ProScript for Editorial Works-十牛図2009




新しい年の始まりです。


絵は、禅の「十牛図」を使って、般若心経の「空」の意味を、現代風に解釈しようと試みた、臨済宗の松原哲明老師の本『十牛禅図』の表紙カバーです。


お気に入りは、ちくま学芸文庫の『十牛図―自己の現象学』なんですが、手元にあるはずが見当たらず、なんだか、忘牛存人 です(笑)


「十牛図」は次のような、10枚の絵で構成されています。

  1. 尋牛(じんぎゅう) - 牛を捜そうと志すこと。悟りを探すがどこにいるかわからず途方にくれた姿を表す。
  2. 見跡(けんせき) - 牛の足跡を見出すこと。足跡とは経典や古人の公案の類を意味する。
  3. 見牛(けんぎゅう) - 牛の姿をかいまみること。優れた師に出会い「悟り」が少しばかり見えた状態。
  4. 得牛(とくぎゅう) - 力づくで牛をつかまえること。何とか悟りの実態を得たものの、いまだ自分のものになっていない姿。
  5. 牧牛(ぼくぎゅう) - 牛をてなづけること。悟りを自分のものにするための修行を表す。
  6. 騎牛帰家(きぎゅうきか) - 牛の背に乗り家へむかうこと。悟りがようやく得られて世間に戻る姿。
  7. 忘牛存人(ぼうぎゅうぞんにん) - 家にもどり牛のことも忘れること。悟りは逃げたのではなく修行者の中にあることに気づく。
  8. 人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう) - すべてが忘れさられ、無に帰一すること。悟りを得た修行者も特別な存在ではなく本来の自然な姿に気づく。
  9. 返本還源(へんぽんげんげん) - 原初の自然の美しさがあらわれてくること。悟りとはこのような自然の中にあることを表す。
  10. 入鄽垂手(にってんすいしゅ) - まちへ... 悟りを得た修行者(童子から布袋和尚の姿になっている)が街へ出て、別の童子と遊ぶ姿を描き、人を導くことを表す。

これ、意識のいわば成長のステップを10段階で表していると、見ることもできます。「悟り」は、「幸福」と言い換えても、まあ、バチはあたらないでしょう(笑)。牛は、西洋で言えば、『青い鳥』でしょうか(爆)。


で、干支の十二支は、12進法です。


ちなみに、2009年の干支「」は、芽が曲がりつつ伸びるさまを表す字。今年の牛に限らず、十二支に動物が当てられているのは、一種の記憶術。十二支というのは、十二進法で、その背景には、植物の種子から芽が出て、すくすくと伸び、葉を生い茂らせたのち、枯れて地に還り、また芽吹くという盛衰のサイクルが、モデルになっていると言われています。



で、は、「芽が曲がりつつ伸びるさま」・・・って、なんだか、この世相、「ピンチをチャンスに変えたい」世相を反映しているような気がします。



「多少かじかむことがあったとしても、へこたれず進モウ!」



そう言っているような気がしてきます。


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