いたずら描きも作品?――ル・コルビュジエ展 | 小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」

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いたずら描きも作品?――ル・コルビュジエ展

ル・コルビュジエ展が昨日(11月4日)まで、上野の西洋美術館で開催(常設展示場)されていました。
常設での展示ですので、ちょいと数点コルビュジエの絵を飾ってお茶の濁す程度、と思いながら入ると、いやはや、力のこもった展覧会で、これは特別展として入場者を募ってもいい、とても内容の充実した展覧会でした。
というのは、最初の吹きぬけのホールには、コルビュジエの造形作品。この吹きぬけホールを囲う展示スペースには、初期のキュビズム、ピュリスムから始まり、コルビュジエの作品を四期に分け(最後はメタモルフォース)展示――しているんですが、なんと、チャディガールの「開いた手」の造形版も展示されていました。う~ん、誰でもいきなりあるものをつくるわけではなく、同じテーマで、さまざま試みるんだよな~ということを再確認させられます。
で、一番驚かされたことは、カップ・マルタンのアイリーン・グレイの別荘に描いた、いたずら描きが写真で展示。いや、いったい能書きにはなんて書くんだ? とみると「E1027に描かれたル・コルビュジエの壁画」ですって。
E-1027というのはアイリーン・グレイの別荘の住所のことで、別称名を通称「E-1027」と呼んでいました。コルビュジエはアイリーンと親しくしていて、というのは、旧態依然の装飾で飾られた様式建築を排したコルビュジエのたてもののなかには、インテリアという室内における新たなスッキリとしたデザインの装飾が必要だったからです。
とはいえ、コルビュジエは、アイリーンの女性関係がゆるせず、アイリーンが外出している間に壁面いっぱいに同性愛を揶揄するいたずら描きを描き、以来、二人は目と鼻の先に住みながら(コルビュジエもカップ・マルタンが気に入って、アイリーンの近くに別荘を建てていました)仲違いに至った、といういわく付きの絵です。それが、なんと有名人が描くと作品になっていました。
小生も、これから名をなせば、いたずら描でも作品になるかも! 期待していてください!!

なお、小生の学生時代(40年前。古いな~)、西洋美術館は月一回のみ無料(常設展しかやっていない時)でしたが、現在は常設展のコーナー設けられているため、第2、第4土曜の2回、無料で入れるとのことでした。展示のほか、コルビュジエのたてものを見て歩くだけでも、有意義ですよ。
*ル・コルビュジエは画家です! 午前中に絵を描き、午後、建築設計をしていました。