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投資は科学か?

このテーマは、検証についてです。

検証できないものは、科学ではない。


この概念は、科学哲学者カール・ポパーが提唱したものです。様々な批判がありますが、私は、この考えを受け入れています。その上で、私自身の投資哲学を構築しています。

カールポパーは、「反証可能性」という概念により、学問を科学と科学でないものに分類することを世に示しました。
例えば、

「神様が存在すれば、明日雨が降る。」

この文章は、科学的ではありません。なぜなら、神様が存在するかどうかは誰にも確かめることはできません。神様を信じることはできます。しかし、神様は姿を我々の前に現すことはありません。

(何かを信仰されている方、私は、神様がいないとは主張していません。確かめることが今のところできていないから、このように記述しています。)

では、次の文章はどうでしょうか?科学的であるといえるでしょうか?

「明日雨が降れば、次の日はくもりである。」

これは、科学的です。なぜなら、「明日雨が降る」ということは確かめられます。さらに、次の日がくもりかどうかも確かめられます。もし、明日雨が降って、あさっても雨が降ったり、晴れたりすれば、その文章は間違いだとして、反証されます。

以上のように、反証可能性とは、ある考え、予測、仮説が反証できることを表現した概念です。

では、投資は科学と呼べるのでしょうか?
これは、きわめて難しい問題です。しかし、答えることができないわけではありません。

私の主張は、投資はやり方によって、科学とも呼べるし、科学とは呼べない、というものです。
そして、科学的な考えをもって、投資にのぞむことは、どのような投資家にとっても不可欠であると考えています。

それはなぜか?結論から言うと、確かめることによって、その手法の優位性を知ることができるからです。
確かめることができない手法をとる場合は、過去のことを検証することが困難です。一方、確かめることができる手法は、過去を検証することができます。

この違いは、投資家に大きな違いを与えます。

具体例を見てみましょう。例えば、ある投資家Aさんは、

「過去10日間の高値を上に抜ければ、その後の10日間は常に価格が過去10日間の高値を下に切ることはない。」

という考えを持っていたとします。この考えは、科学的な検証が可能です。すなわち、過去のチャートを調べればよいわけです。この考えが、正しいかどうかわかります。一回でも反証できるチャートが存在すれば、その考えは、正しいとはいえないのです。

ただ、すべての市場とすべての時間枠に通用する手法は世の中に存在しないと言われています。
「それなら、すべての手法は利益を生むことができないじゃないか!!しかし、現に利益を生み出しているトレーダーは世の中にたくさんいるじゃないか!それは、矛盾している。」
この考えは、投資の上で、まったく的を射ていません。この発言者は、確率について知らないのです。

私はこのように考えています。

科学的な基礎の上で、ある理論を持ち、確率的にその検証結果を評価する必要がある。

ですので、その考えが正しいかどうかは、戦略や哲学にあわせて判断すればよいのです。

上の考えを検証した結果、10年間のうち100個の具体例を見つけて、そのうち99個は当てはまった場合あなたはどのように判断するのでしょうか?たったひとつの具体例のせいで、その考えを棄却してしまうのでしょうか?

それは、投資家ではなく、科学者が行うことです。投資家は、科学者ではありません
われわれは、優位性に投資するのです。それが投資家です。

テクニカル分析やファンダメンタル分析の本には、さまざまなことが書いてあります。情報があふれています。手法があふれています。しかし、その手法が確率的にどのくらいの優位性を持つのか理解している人は、ごくわずかであり、さらに、その優位性を戦略的に有効活用している人は、ほんの一握りです。その一握りが投資の世界の勝ち組です。

以上のことを踏まえて、結論を述べますと、

投資は科学ではない。しかし、科学的な基礎に立つ必要がある。

です。科学的な基礎に基づく検証と戦略に基づく判断を行う必要が投資には不可欠なのです。

検証について、何か示唆を提供できましたか?

トレード履歴を毎日つける

このテーマは、マネーマネジメントです。

「敵を知り己を知らば、百戦危うからず」


孫子の有名な教訓です。これを相場でのトレード的な観点から解釈してみたいと思います。
まず、下の図をご覧ください。


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上の図は、4つの区画にわかれた表です。Mはマーケットのこと、Sは自分のこと、○、×は知っているか知らないか。さらに、3つの色に分かれています。

まず、赤の区画について。
これは、マーケットを知っているか知らないかによらず、自分のことを知らない人たちをカテゴライズしています。
この赤に含まれる場合、絶対に相場では、利益を上げ続けることができません。運がいい人もたまにはいて、莫大な利益を手にする人もいるかもしれませんが、長期的には、その資金もトレードを繰り返せば、尽きることでしょう。

次に、緑の区画について。
これは、文句なく、長期的に利益を上げ続けることができる人たちのカテゴリーです。マーケットを知っていて、自分のことを知っています。

では、最後に青い区画について。
この区画にカテゴライズされる人たちは、マーケットのことは理解していませんが、自分のことはしっています。このような人たちは、長期にわたって利益を上げることはできませんが、大きな失敗もなく、資金が尽きてしまうことは遠い未来のことです。生き残り組みです。

ここから、重要な示唆が得られることがお分かりでしょうか?
マーケットで生き残るには、マーケットを知るのではなく、自分を知ることが重要です。
自分を知るとは、ほとんどの場合、リスクをマネジメントすること、自分のトレード履歴をつけること、相場日誌をつけるなどのことが含まれていますが、それができていない限り、相場では生き残れません。

そこで私が重要だと思っていること、勝つために必要なことのひとつとして、トレード履歴をつけることです。
私の場合、どのようにトレード履歴をつけているのかといったら、エクセルで、その日のトレードに必要な数値を入力すると、自動的にどこでエントリーし、どこでエグジットし、取引枚数は何枚にすればよいのかが算出されるようになっています。そして、それは同時に、今日何をしたのかという履歴にもなるのです。そして、その日の損益を記入し、その日のトレード履歴は記入されたことになります。それを毎日続けています。毎日です。仮に、トレードしなくてもしていても、毎日記入しています。

このことのメリットは、自分のトレードが簡便になることがひとつにあげられます。ふたつに、自分のトレードのデータが収集できます。そして、みっつに、自分のトレードを明確に評価・分析できます。
実際に、このエクセルのシートは、相場検証するときにも使えます。なぜなら、過去のことを履歴としてつけるのか、今日のことを履歴としてつけるのかは、パソコンには関係ないからです。ですので、私は、過去の情報も膨大に保有しています。自分がそのトレードをしていないにもかかわらずです。

毎日の自分の行動を何かしらの形で、記録し続けると、自分の行動のパターンなどが浮き彫りになってきます。心理的な記録もしてみるのもおすすめです。ただ、すこし面倒だという人は、すくなくとも、エクセルでも手書きのノートでもかまいません。毎日の売買履歴をつけましょう。これは、証券会社が提供するサービスではなく、能動的に自分で、自分なりのやり方で記録してください。

あなたは、マネーマネジメントについて何か示唆を得ることができましたか?


リスクは、相場以外にある。

このテーマは、リスクマネジメントについてです。

「リスクとは、すなわち、すべてに伴う。」


我々は、トレードにおいて、リスクという言葉を聞いてマーケットが大きな変化を、しかも自分の思惑とは異なる変化をすることだと思っています。リスクの定義は、トレーダーによって異なります。多岐にわたるリスクがあることを認識する必要があります。

私の主張は単純です。自分に関係するすべての事象がリスクになります。
あなたが、得る情報、今日何を食べたのか、今日何時に起きたのか、今日何時に寝るのか、今日何をしたのか、今日何をするのか。今日何を思い、何を考えるのか。
すべての行動が、マーケットでの行動、そして、あなたのトレードの期待値に影響を与えます。

具体例を引き合いに出したいと思います。
あなたは、毎日7時に起きて、まず、朝食を食べてから、7時半くらいにマーケットの情報を収集し、8時に取引の戦略に基づき、今日の取引について考えをめぐらせ、9時に注文を出すとします。

これは、あなたの習慣です。しかし、この習慣がいろいろなことに影響を受けるのは、容易に想像ができます。

たとえば、前の晩、飲みすぎて、朝食を食べるには、気持ちが悪い。
たとえば、朝6時に起きてしまった。
たとえば、昨日夜更かしをして、今日は眠たい。
たとえば、インターネット回線がつながらない。

などなど。

毎日同じように行動するから、同じようにトレードをできるわけです。しかし、同じようにトレードするためには、毎日同じように行動する必要はありません。同じようにトレードできるように、我々は、準備すればよいのです。その状況に対応すればよいのです。

しかし、一般的なトレーダーは、「今日はこうだった。だから、トレードがうまくいかなかった。」などとつぶやきます。
一方、偉大なトレーダーは、どのような状況になろうと、事前の準備を重要視し、柔軟にその場の状況に対応します。戦略を持っているため、戦略に沿ったトレードを一貫して行うのです。

あなたは、寝入る前にイメージトレーニングをして、寝入ることはありますか。

あなたは、明日、自分がどのようにトレードをこなしているか明確なイメージを持っていますか?

そのイメージが崩れる想像を抱いたことがありますか?それについて、何か対処をしたことがありますか。

リスクマネジメントとは、自分をみつめ、自分の行動に伴うリスクを把握し、それについて対応することが肝要です。その準備ができて、はじめて他のことを考えるといいでしょう。

投資やビジネスにおいて、また、勝負の世界では、あなたを助けることができるのは、あなたのみです。それぐらいの独立精神と責任感を持たなければ、勝負の世界を生き続けることができません。

投資は、投資家同士の殴り合いの場と認識してください。あなたの利益は、だれかの損失です。あなたの損失は、だれかの利益です。マーケットの中で、あなたは常に優位な立場にいることができなければ、死に行くのみです。

自らを鍛えましょう。あらゆる角度から自分の強さをより強固にしましょう。そのたまにも自分を見つめてください。
他人のせいにすることは、リスクマネジメントを放棄することに他なりません。

マネジメントをするのは、あなた自身であり、あなたのトレードにかかわるすべてを管理する必要があります。
リスクマネジメントは、そのひとつです。

あなたは、リスクマネジメントについて示唆をえることができましたか?