会議室の議論から売上は生まれない | 【閉鎖】小規模企業経営のヒント~実体験&クライアント事例から発信します~

【閉鎖】小規模企業経営のヒント~実体験&クライアント事例から発信します~

株式会社エッジコネクション 代表取締役社長大村康雄のブログでしたが、現在は当社HPコラムコーナーにて執筆中

当社は営業のコンサルティングやアウトソースを行っているわけですので、

様々な企業から「こういう商品(サービス)をこういうターゲットに営業していきたい」という

お話を日々いただきます。

 

そのようなミーティングをしていて、「よし、これで進めましょう!」という会社と

「もう少し議論を重ねてから固めていきましょう。」という会社、大別して

2つの社風をよく感じます。

 

もちろん、シチュエーション次第、ケースバイケースではありますが、「議論を重ねてから」

という社風の会社は新しく取り組み始めた営業活動が実るまで時間がかかることが多いです。

 

当然、議論を重ねるわけですからなかなかスタートしないというのもあります。

ただ、それよりも大きいのは議論を重ねる過程で営業戦略が霞んでいくのです。

 

「今回の新サービスは管理部門のデスクワークの負荷を減らすサービスである。

これをどうやって営業してくか。」

 

こんなお題があるとします。

 

ある会社(A社)は、

「負荷を減らすサービスですから、恒常的に人手不足の中小ベンチャー企業を攻めるべきでは?」

と誰かが提案し、6~7割の賛同が営業メンバーから得られたとします。

その時点でもう営業がスタートしました。

 

もう一方の会社(B社)は、

「負荷を減らすサービスですから、恒常的に人手不足の中小ベンチャー企業を攻めるべきでは?」

と誰かが提案したところ、

「中小ベンチャー企業だと規模が小さく受注額が低くなるので大企業を狙おう。大企業にも管理部門の人手が足りないところはあるはずだ。」

との提案が上がりました。そして結局、

”大企業も中小ベンチャー企業もどちらにもご活用頂ける!”

というのをウリにして営業がスタートしました。

 

このとき、営業スタッフの優秀さや営業資料のわかりやすさなどがA社とB社全く同じ前提であれば

A社の営業活動の方が多くの収益をもたらす可能性が高いです。

 

まず、実際に中小ベンチャー企業にこのサービスが受けるとすれば、A社はそこを狙ってますから

その時点で大きな収益をあげられるでしょう。

B社も中小ベンチャー企業を狙ってますが、大企業への訴求も行ってますのでメッセージ性が

弱まります。

 

次に、大企業にニーズがある場合。A社は最初は大ゴケし、B社が収益を得るでしょう。

しかし、ターゲットを中小ベンチャー企業に絞ってたA社はどこかのタイミングでターゲットを

変えなければと思うはずです。つまり、大企業のチカラになるサービスと売出し始めるでしょう。

そこからはA社が追い上げていきます。

 

ここで、どちらのケースもB社もそのうちターゲットを限定的に営業するのでは?そして、結局は

A社と同じことになるのでは?と思うと思います。

ですが、多くのケースではそれは起こりません。なぜなら、そこそこ成功しているからです。

両方のターゲットを攻め、一定程度収益が上がり、また正解ではないターゲットも全くのゼロ

というわけではない。こういう状況のとき、営業戦略を大きく見直す舵は取りにくいのです。

 

荒削りでも良いので営業戦略は輪郭が固まったらスタートして後は軌道修正を行う。

その意識で意思決定をしていくと、議論の手間も省けて収益も増大していき、一石二鳥です。