39皿目 この苦味、消えない ― 春は、少しだけ苦い。 ― | 頑張れオンボロ食堂奮闘記 ― ロクとクゥーのまかない哲学 ―

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町はずれの少し古びたレトロカフェ食堂。木の温もりと柔らかい光に包まれ、落ち着いた大人向けの空間です。読書やひとり時間も楽しめ、厨房ではゆるい日常が流れています。

つくしのハカマを剥いていると、
指先がだんだん黒く染まってくる。



泥を落として、
節をそろえて、
鍋に入れる。

醤油と酒を少し。

弱い火で、
ゆっくり佃煮にしていく。




厨房に甘辛い匂いが広がる。

だが主役は、
あの野原の苦味だ。

鍋をかき混ぜながら、
ふと思う。

この店でも、
いろんな皿を出してきた。

火の話も、
油の話も、
湯気の話もした。

だがな。

料理ってのは、
最後まで残るもんがある。

それが何かは

まだ、煮えない。

鍋の底で、
黒いつくしが静かに艶を出していく。

その匂いが、
もう少し立つまでは。




今日の注意書き

※ 焦げ付きに注意。火を急ぐと苦味はただの雑味になります。
※ 指の汚れに注意。つくしの灰汁はなかなか落ちません。でも、その匂いが春です。