朝一番の仕事は、火をつけることだ。
寸胴の中で、今日のスープが目を覚ます。
「味見します!」
「まだ早い」
ひと口すすって、むせた。
学習はしたが、活かされてはいない。
ネギは山盛り。厚みは自由。
ロクは何も言わず、半分だけよける。
吊るしたチャーシューが、ゆっくり回っている。
「触っていいですか」
「だめだ」
三秒後、触った。
当然、怒られた。
「いきます!」
勢いよく振る。
米が半分、旅に出た。
「戻せ」
「無理です」
二回目は成功。
三回目は味が濃すぎた。
四回目で、やっと落ち着く。
ロクがひと口食べる。
「今日は合格だ」
基準は、聞いても教えてくれない。
麺が上がる。
スープを注ぐ。
横でチャーハンが、いい音を立てている。
湯気と煙で、厨房が少し白い。
チャーハンは止めどきが大事だ。
振りすぎると、水分が飛びすぎる。
迷ったら、早めに皿へ。
暖簾が出る。
最初のセットが出る。
今日も、営業中。