メカニカルブレーキをどう使うのか。
はたまた、メカニカルブレーキが本当にブレーキなのか?
と言う疑問ですけれど。
あ、今回は長いですよ。
しかも無駄に。
まぁ、構造については割愛しますけれども。
スプールはリールの中で。
こんな向きで収まっているのですけれども。
メカニカルブレーキを効かせたい場合。
次のように、メカニカルノブを締めこんでいくのですが。
そうすると、リールの中で、スプールがどんな目にあっているかと言いますとね。
それはきっとこんな具合なんです。
この状態で、スプールをぶん回すとか。
もうこれは、機械としてあり得ない運転状態。
だと思うのです。
そんなだから、近頃は。
ゼロポジションとか。
メカニカルブレーキを使わない方向性が推奨されていますよね。
ふむ、ちょっと遠慮気味過ぎましたか。
近頃のユーザーときたら・・・。
取説読まない。
ブレーキだと聞けば、構造を考えないでむやみに締める。
というより、そもそも加減がわかりづらい。
なので、触るとクレームの原因になる。
あれ?ひょっとして俺らのせい?
だったら、もう触らないでよねっ!てことにしてしまえ。
ってとこがメーカーの本音な気がします。
かくいう私もメカニカルは使わない派です。
それでも、まるまる切り捨てるにはもったいないかもな。
と思える機能を、メカニカルブレーキは持っています。
そのことについて、書いてみようかと思うのですけれど。
その前に。
メインブレーキについて話をしていこうと思います。
メインブレーキは結局何をしているのか。
その辺を可能な限りシンプルに見ていきたいと思います。
さて、ブレーキシステムとしては、大きく見てマグネット型と遠心型になりますよね。
で、リールのメインブレーキと言うのは、リール作られた段階、或いは設計された段階で、システムごとに固有のブレーキ特性が与えられるんです。
たとえば、ブレーキ力をB、スプールの回転速度をv、として、グラフを描いた場合。
遠心だとこんな感じで与えられます。
遠心ブレーキは、ブレーキブロックの運動エネルギーを利用します。
運動エネルギーは、速度の2乗に比例して大きくなりますから。
v²の支配する2次曲線のグラフになるのです。
さらに付け加えると。
運動エネルギーは、運動する物体の質量と速度の2乗に比例する。
なので、ブレーキブロックの数が調整できるSVSだとこんな感じでしょうか。
こんな感じで、調整ダイヤルが最大の時の特性が与えられるんです。
ちなみに、マグネットブレーキだと、リニア(線形)特性なので。
こんな感じの直線グラフになりますし。
仮に数式表現すると B=a・v のグラフですね。
至極単純です。
SVのような可変システムの場合はですね。
可変とはいってもマグネットなので、直線グラフが基本ですけれど。
インダクトロータが飛び出た時と、引っ込んだ時。
この2状態のグラフが与えられているんですね。
で、ざっくり言うと、インダクトローターが作動するタイミングで、2本のグラフを乗り換えるような作動特性になります。
さて、ここから、ブレーキの外部ダイヤル操作で何ができるのかと言う話に入ります。
これは、マグネットも遠心も同じことをするので、今回は遠心を引き合いに出します。
では・・。用意したフリップを・・・。
いきなり全部盛りで描いたんですけれど。
結論から言うとですね。
外部ダイヤルと言うのは、与えられたブレーキ特性グラフの傾きだけを、ダイヤルの最大(100%)から最小(例えば5%)まで自在に変更できる機能なんです。
デタラメなくらいシンプルに言えば。
B=(調整可能な係数)・v² が支配する。
と言えます。
運動エネルギーの方程式
E=(1/2・質量m)・速度vの2乗 を言い換えただけですね。
ここで、メカニカルブレーキを効かせると、メカニカルブレーキは速度に関係なく一定で効きますから。
速度に関係なく、一定のプラスバイアスとして働き続けるので。(ここでは値をβと表現しています)
グラフとしては、B=βの水平の直線として加算されます。
メインブレーキのグラフが、メカニカルブレーキ分(+β)下駄をはいた状態になるわけです。
そうすると、先ほどの式が。
B=(調整可能な係数)・v²+β
になります。
つまり、メカニカルブレーキを調整することで。
メインブレーキで傾き調整して作ったグラフを、B軸に沿って自在に上下させることができる機能が付加される。
と言う事なんです。
中学でやったあれですよ。
y=a・x²+b のグラフを描け。です。
この式のパラメータのうち。
メインブレーキは a を。
メカニカルブレーキは b を。
それぞれ書き換えていると思えばOKです。
そうすると机上論ではちょっと面白いことになるんですよ。
これが遠心を引き合いに出した理由なんですけれど・・。
今度はルアーの減速について考えます。
先ずはルアー単体で考えます。
ルアーの減速の原因は、ほぼほぼ空気抵抗ですよね。
で、よく聞く物理の話でこんなのがありますよね。
空気抵抗は速度の2乗に比例して大きくなる。
そう言う事なので。
ブレーキで扱ってきたよく聞く物理の。
運動エネルギーは、速度の2乗に比例して大
と、速度の2乗の部分が共通していますよね。
そうすると v² のグラフと同じになるんじゃね?
違うのって v² の係数部分だけってことじゃね?
だったらもう、扱い同じってことで、こうなっちゃいますよね。
係数はなんだかわからないけど、 v² の方程式に支配された2次曲線です。
さて、このルアーと言うのもですね。
作られた段階で、いくらの空気抵抗を受けるかと言う、空気抵抗の係数みたいなものが決定しているわけですよ。
それはルアーに固有の値になります。
仮に、ここで得られたグラフを、ブレーキ特性に重ねてみますと。
傾きは違いますけれど、どちらも v² のグラフで似たような方程式なんですね。
遠心ブレーキは
(調整可能な係数)・v² のグラフ
空気抵抗は
(ルアー固有の抵抗の係数)・v² のグラフ
遠心ブレーキの係数は(調整可能)ですから。
調整してしまえば。
(調整可能な係数)≒(ルアー固有の抵抗の係数)
が、可能で、ブレーキをグラフの傾きを合わせる事ができますよね。
そうすると、ルアーの減速にぴったり合わせることができる。
と言う事になります。
まぁ・・・・。
これが・・・。
遠心の良いところでも、ダメなところでもあるんですけれど・・・・。
糸の目減りとかもあるんで・・・。
机上論通りにはなるはずもないと言うか・・・。
外部ダイヤル調整でマージンを取れば効きすぎ。取らなければオーバラン気味。
ピーキーと言われる所以ですね。
そこをサミングで処理できれば、楽~に飛距離が出る。
実はそのサミングをメカニカルブレーキである程度肩代わりできるのですが・・。
ここにもメカニカルブレーキの使い道があるのですけれど・・・。
話を戻しましょう。
さて、ここまでは。
ルアー単体について考えましたけれど。
糸引っ張ってますよね。
これ自体の重さも増え続ける負荷になるし、空気抵抗を受けるのは想像に難くないですよね。
でも結構複雑な関数なんですよねぇ。
正直理解できないです。
なので乱暴にシンプルに。
プラスαの抵抗
としてしましましょうよ。
そしたら楽です。
まぁ、こういう現象が起こると言う事になりますけれど・・・。
もうわかりますよね。
ここでメカニカルブレーキの(+β)です。
これで、ブレーキのグラフを上下に動かしてやればこのとおり!
まぁ、机上論の話です。
じっさいはここはサミングでやっちゃいます。
だって、一定でスプールに触ってれば良いんだもの。
それでもまぁ、実際の感覚として、机上論に近い結果は得られているんですよ。
それでもバックラッシュは発生するでしょ?
つまりそれっは、今回の話に出てこない部分が原因なんですね。
原因はスプールへの運動エネルギーの入力の在り方なんです。
なので、この通りにやったからって、多分バックラッシュは無くならないです。
リールにそこまでの能力はありません。
ロッドの扱い次第と言う事で、修練中です。
以上、ブレーキセッティングと、そのマッピングの考察でした。