映画『ラブレター』(1995 岩井俊二監督 中山美穂 豊川悦司)は二度観たが、私の好きな映画としては五本の指に入る。
今もラストシーンの記憶が鮮明に残っている。
その続編を思わせる、岩井監督の『ラストレター』(2020)がAmazon Prime Videoの見放題に出ていたので、これは観るしかないと思った。
これには原作がある。しかし、作者は岩井俊二監督自身である。
単なるノベライズ本なのか。
それで原作と言えるのかなと思いつつ、Amazonで注文しておいて、映画を観始めた。
うつ病が高じて自ら命を絶った女性 遠野美咲の葬儀から映画は始まる。
離婚した美咲が身を寄せていた宮城県の実家に、高校生の娘 鮎美(広瀬すず)が遺された。
美咲の妹 裕里(松たか子)が葬儀を終え、仙台市内の自宅に戻ろうとすると、中学生の娘 颯香(そよか 森七菜)が、しばらくここにいたいという。
鮎美の“話し相手”として。折しも夏休みである。
裕里は、実家を出る間際、鮎美から美咲あての高校の同窓会(同期会)の通知を預かる。
その会に出むいた裕里は、姉と間違われてしまう。
真実を言えずにそそくさと会場を後にするが、追いかけてきた同級生 乙坂鏡史郎(福山雅治)に声をかけられ、連絡先を交換する。
それから裕里は、姉の名前で乙坂に手紙を送ることになる。
乙坂は売れない小説家で、唯一出版し受賞した作品の題名は、『美咲』。
大学時代の彼女との恋の顛末を描いた小説だった。
高校時代、乙坂と裕里は部活の先輩と後輩の間柄だったが、乙坂は同級生の美咲に恋をしており、美咲あての恋文を何通も書いては、裕里に託していた。
高校時代の乙坂鏡史郎を演ずるのは神木隆之介だが、美咲は広瀬すず、裕里は森七菜で、二人の娘たちと瓜二つの設定である。
高校時代と現代との交錯、手紙のやりとりというロマンチックな展開は、やはり『ラブレター』を連想させる。
2時間の映画の半分、約1時間観て一度中断し、小説を読み始めた。 ②へつづく