66、新エネルギー_噴流床石炭ガス化発電プラント開発事業_石炭をガス化して高効率化を実現「石炭ガス化複合発電(IGCC)」_三菱日立パワーシステムズ株式会社/常磐共同火力株式会社_取材:November2013:http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201306igcc/index.html
発電効率48~50%
石炭消費量20%削減を目指す(従来の最新鋭火力発電対比)
石炭は化石燃料の中で最も採掘可能な埋蔵量が多く、安価な燃料です。また、石油や天然ガスのように資源の偏在性も少なく、石炭の生産国は世界中に多数存在します。しかし、その一方で、他の化石燃料に比べて最もCO2排出量が多く、硫黄や灰分などの環境負荷物質を多く含むという欠点があります。
そこで、NEDOプロジェクトなどを通して、電力会社が研究開発の実施主体となり、三菱日立パワーシステムズ株式会社(以下、MHPS社(当時:三菱重工業株式会社))の技術により、既存の石炭火力発電に比べて石炭使用量が少なく、発電効率が高い次世代の石炭火力発電システム「石炭ガス化複合発電(Integrated coal Gasification Combined Cycle: IGCC)」を開発・実用化しました。技術開発は1983年、一般社団法人電力中央研究所で行われていた2t/日基礎実験装置を皮切りに、1986年からNEDOによる200t/日パイロットプラントの研究を本格化。このプラントは、福島県いわき市の常磐共同火力株式会社勿来発電所の構内に建設され、1991年より運転研究を開始しました。当初はスラッギング等のトラブルに苦しんだものの、最終的には789時間の連続運転を達成し、1996年度に成功裡に終了しました。
プロジェクト終了後も、三菱重工業の長崎研究所に設けたIGCC一貫試験設備で、実証プラントの実現に向けた各種試験を実施しました。その結果に基づいて、勿来発電所構内に株式会社クリーンコールパワー研究所をオーナとする25万kW実証プラントが建設され、最新鋭の石炭火力発電と同等の発電効率を達成しました。その後、商用プラントとして常磐共同火力に引き継がれ、2013年6月30日に商用運転を開始。同年12月にはIGCCとして3,917時間の世界最長連続運転を達成して、高い信頼性を得ることができました。
この成功により、既存の石炭火力発電比で石炭使用量を約20%削減、発電効率48~50%(以下、発電効率は送電端LHVベースを示すものとする)の実現可能性を示すことができました。現在では、福島復興電源として、高効率、50万kW級(×2基)の実証プラント(2020年代初頭運転予定)の建設計画が進められています。
※詳しくは下記資料をご覧下さい。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「
※NEDOさんはH15年4月より国立研究開発法人となっております。
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