米アマゾン・ドット・コムが1日発表した2017年10~12月期決算は、最終利益が前年同期比2.5倍の18億5600万ドル(約2000億円)、売上高は同38%増の604億5300万ドルとどちらも過去最高を更新した。利益を無視して果敢な先行投資を仕掛けることで知られるアマゾンだが、急成長するクラウドや広告に加え、有料会員からの固定収入で利益を固めることで「稼ぐ会社」へと変わってきた。経済圏拡大の果実を刈り取り始めている。
広がり続けるアマゾン経済圏。1月には無人コンビニを一般向けに開業した(米シアトル市)
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広がり続けるアマゾン経済圏。1月には無人コンビニを一般向けに開業した(米シアトル市)
■「エコー」見通し上回る
決算発表後の電話会見でブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は「きれいな決算」だと繰り返した。北米の年末商戦が好調で主力のネット通販が17%増となったほか、クラウド事業は45%の増収で売上高は51億ドルに達した。クラウドは拡大する需要に対応するため、営業人員を増やし、展開地域をさらに広げるという。
スピーカー端末「アマゾンエコー」はジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が「楽観的な見通しをさらに上回った」とのコメントを出すほどの売れ行きだ。音声操作でネット注文ができるなど、アマゾンの幅広いサービスへの導線は確実に太くなっている。
無料配送や動画視聴を利用できる有料会員サービス「アマゾンプライム」も堅調な伸びが続く。インドでも好調で米国外に広げていく計画だ。米国では、17年8月末に買収した高級スーパー、ホールフーズ・マーケットでのセールなどと絡めて会員特典をさらに充実させていく。ホールフーズは買収後の値下げで販売が好調だという。
■広告事業、ツイッター上回る
さらに新たな事業の柱も生まれつつある。オルサブスキーCFOは北米事業好調の一因として広告を挙げた。「新たな商品を発見してもらう切り口で広告を広げていく」と話し、新興ブランドなどに営業をかけていることを示唆した。
米調査会社イーマーケッターの推計では、17年の米国のデジタル広告市場でアマゾンの売上高は既に約17億ドルの規模まで拡大し、米ツイッターを上回っている。主要企業で最速の年率約5割のペースで成長しており、米国のデジタル広告市場における推定シェアは2%。アマゾンのサイトには買う気になった顧客が来るため商品広告の効果は一般的に高い。19年にはシェアは3%に達すると予想している。
あらゆるサービスが有機的につながっていく「経済圏」を築き、勢いを増すアマゾン。唯一の弱点があるとすれば、その多角化による強さそれ自体かもしれない。事業が直接競合する小売・物流業界ではアマゾンのクラウドサービスを避ける動きも出始めている。
(ニューオーリンズ=兼松雄一郎)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26469960S8A200C1000000/