井伊直弼、金田一耕助、芥川龍之介、松坂大輔、杉野 遥亮…
男性の名前の「すけ」には、実に色々な字が当てられます。
その訳は、実は奈良時代以前にまでさかのぼります。
大宝元年(701年)、大宝律令が作られ、それ以降、この律令に則って国の官庁制度が定められていきました。
この唐の官制をモデルにした律令制度では、中央の役所は二官八省にわかれ、地方には京職(きょうしき)、摂津職(せっつしき)、太宰府(だざいふ)などが置かれます。
これらの諸官庁には四等官と呼ばれる、長官(かみ)、次官(すけ)、判官(じょう)、主典(さかん)が配置されました。
このうちの「すけ」が、後の名前の「○○すけ」に元になりました。
これに当てる漢字は、各官庁の格に応じて細かく異なり、輔は省、亮は職、坊や助は寮、介は諸国など。
その後、南北朝の頃からの「すけ」に文字を加えて名前とするようになったということです。
この律令時代の名残で、現在でも「すけ」にはいろいろな文字が当てられているのです。
主典は、勇作、健作など「○○作」の「さく」の元になっています。
長官は「かみ」で恐れ多いから、判官は「尉」(おじいさんの意味)を連想させるとして使用が避けられたようです。